世界の医療事情

【海外旅行保険】海外移住や国際結婚した時の保険や社会保障について

仕事や国際結婚などで海外に住む日本人はたくさんいます。各国間を行き来する際、その国ごとの保障は他国では適用されないことがほとんどです。ここでは、海外に移住する際の社会保障についてや日本に帰国する際に、注意すべき点にはどんなことがあるのか、また、日本国籍を持っているか、外国籍かによっても違いがあるのかどうかなども考えていきたいと思います。

■もくじ(ページ内リンク)

国籍について

国際結婚をした場合

国別の年金制度の違い

世界の医療保険制度

海外移住の際、医療保険はどうしたらいいのか

海外にいても日本の海外旅行保険に加入できるのか

国籍について

日本に生まれた私たちの多くは日本国籍を持っています。日本に居住していることで、様々な社会保障制度を受けることができます。社会保障制度には、医療保険制度や年金制度などがあります。基本的に、両親の国籍が違う場合は22歳になるまでにどちらかの国籍を選択することになります。

また、国際結婚により二重国籍になった場合は22歳になるまで、または2年以内のどちらか遅いほうまでに日本の国籍か結婚相手の国籍のどちらかを選択する必要があります。女性の場合には、結婚する男性の国籍によっては、相手の国籍になることが必須という場合もありますので、注意が必要です。

万一結婚相手の国籍を選択したものの、日本国籍に戻ることになった場合、帰化申請をして日本国籍を取得し直す必要があります。通常の帰化申請にはいくつか条件がありますが、父母のどちらかが日本人で、日本に住所がある場合は簡易帰化申請をすることができます。

結婚すると夫と妻の新しい戸籍ができますが、国際結婚の場合は外国人の戸籍は作られません。外国人と結婚した日本人の戸籍に相手の情報と、婚姻事実が掲載されます。

国際結婚をした場合

国際結婚とは、国籍の違う男女が婚姻することを言います。国際結婚により、国籍はどちらを選択するか、海外に住むか日本に住むかによって手続きは変わってきます。基本的に、日本国籍を持っている場合、海外に在住する場合でも国民年金へ任意加入することができます。

しかし、結婚相手の国籍を選択したことにより日本国籍が消滅し、海外へ住むことになった場合、日本の年金制度を継続して受けることは難しくなります。その場合には、居住する国の年金に加入する必要があります。日本で支払っていた年金は、10年以上支払っていれば、老齢年金として受給することができますが、年金納付期間が10年に満たない場合には、老齢年金を受け取ることができないため、脱退一時金申請をし、一時金を受け取ることになります。

しかし、再度日本に戻って来る可能性がある場合には、脱退一時金を受け取ってしまうと、今まで年金を納付していた期間がリセットされてしまうため、注意が必要です。日本国籍を持ちながら、海外に移住される場合には、日本の年金に加入しながら、移住先の年金も支払う必要が出て来る場合もあります。

そのような場合、二重で年金を支払うことを防ぐため、国によっては、日本と社会保障協定を結んでいることもあります。日本と社会保障協定を結んでいる国であれば、「日本での年金加入期間」を「協定を結んでいる国」の年金制度へ加入していた期間とみなして取り扱い、その国の年金を受給できるようにするというものです。

国別の年金制度の違い

日本の年金制度は原則、20歳以上の全国民に加入の義務があります。しかし、自営業なのか、会社勤めや公務員なのかなど職種によって受給額に大きな差があることが特徴です。

アメリカの年金制度は、OASDIと呼ばれ、老齢年金、家族年金、障害年金、遺族年金を総称したものとなります。基本的に無職の人や学生は加入することができず、自営業の場合も一定の所得がないと加入することができません。また、受給額も職業に関わらず、所得によって変わることが原則です。

世界的にも充実した年金制度があるスウェーデンでは、最低保証年金制度を導入しており、3年以上スウェーデンに居住しており、一度でも保険料を納入したことがある人ならば、年金を受け取ることができます。

ドイツの年金制度は、職業によって加入する年金制度が違うものとなります。年金の支給額は、報酬ポイントによって決まる形態になっています。報酬ポイントとは、個人の報酬を他の被保険者の平均報酬額で割って算出したものです。年金を受給するためには、最低5年間の加入期間が必要となります。

アメリカやドイツは日本と社会保障協定を結んでおり、海外への滞在期間によってはその国の年金制度へ加入する必要が出てきます。

世界の医療保険制度

医療保険制度とは、事前に保険料を納め、病気や怪我の際に治療費の負担額を軽減させるためのものです。日本では公的医療保険といい、社会保障制度の一環として全国民に医療保険が適用されます。日本における民間の医療保険は、入院保険やがん保険など公的医療保険の補助的に加入するものです。

日本の公的医療保険は、国民皆保険制度と呼ばれ、審査などはなく、全国民が平等に加入できるものとなっています。公的医療保険では、医療費の3割を自己負担することが原則となります。入院や手術などで医療費が高額になってしまった場合には、高額療養費制度を利用して、自己負担額を減らすこともできます。

高額療養費制度とは、収入によって、ひと月における医療費の自己負担額の上限が決められており、それを超えた分は払い戻しがされるという制度です。入院時の差額ベッド代や自己負担した食事代、保険適用外の治療費などは高額療養費制度の対象にはなりませんが、国民皆保険制度に加え、高額療養費制度も備わっている日本の医療保険制度は、世界的に見ても充実したものであると言えます。

それに比べ、アメリカの公的医療保険は、重度の障害を持っている方や、65歳以上の高齢者、所得の低い人しか加入することができず、ほとんどの人が民間の医療保険を利用しています。アメリカは病院での治療費が高額になるケースが多い傾向にあるため、2010年に全国民が医療保険に加入することを義務付けましたが、医療保険に加入できていない人も一定数います。

イギリスは、国民保健サービスと言い、公的機関が提供する医療は基本的に無料で受けることができる制度を導入していますが、地域によって決められた病院しか受診できない上に、診療所の医師からの紹介状がないと大病院で治療ができないなど公的医療を利用できる条件が厳しくなっています。

海外移住の際、医療保険はどうしたらいいのか

日本の社会保障制度の中で、年金制度は、基本的に日本に居住している人が加入できるものとなっていますが、海外に居住していても任意で加入することができます。国民健康保険は日本の住民票を抹消してしまうと、加入者ではなくなってしまいます。もちろん、日本の公的医療保険に加入していても、海外の病院では日本の医療保険は適用されないため、その国の医療保険に加入する必要があります。ただし、海外療養費制度として、海外の病院でかかった治療費の一部を補償してもらうこともできますが、原則、日本で同じ治療をした際の予想金額でしか補償されません。日本では認可されていない治療法は適用外となりますので、自己負担額が大きくなってしまいます。

移住先の国によっては、公的医療保険に加入できない場合もあるため、現地の民間保険を利用することになります。

海外にいても日本の海外旅行保険に加入できるのか

すでに渡航している方が日本の海外旅行保険に加入するためには、日本に帰国している時に加入することになります。海外旅行保険は旅行を目的としてご自宅を出発し、帰国することを前提とした保険であるため、出発後の契約はできません。また、海外への移住を目的として渡航される場合は海外旅行保険には加入できません。海外へ移住される方やすでに渡航していて、海外にいながら保険加入を希望されている方は、現地の保険へ加入していただく必要があります。

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この記事を書いた人

伊藤菜央(株式会社アイ・エフ・クリエイト 保険コンサルタント) 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)