海外旅行保険の選び方

複数の会社の海外旅行保険に加入したときの保険金

海外旅行保険に複数社加入した場合、保険金は全社から受け取れる?

日本は国民すべての人が公的な医療保険に加入しています。海外では公的な医療保険に加入している人が全国民の半分にも満たない国が多くあります。公的な医療保険に加入していない人は保険会社の任意保険に加入することになります。ここでは、保険制度の国際比較や任意保険に加入する際に、複数社加入した場合にはどうなるか、海外旅行保険の場合はどうなるのかなどをご紹介したいと思います。

■もくじ(ページ内リンク)

日本とアメリカの医療保険制度の違い

日本とアメリカの民間保険の違い

複数の保険に加入すると

海外旅行保険の場合は複数社から保険金を受け取ることは可能か

日本とアメリカの医療保険制度の違い

日本の医療保険制度は、国民全員がいずれかの公的な医療保険に加入している国民皆保険制度です。アメリカの医療保険制度は日本とは違って加入条件があり、公的な医療保険は65歳以上の高齢者や重度の障害を持っている方、所得が少ない方向けとなっています。また、民間の医療保険に加入している方が人口全体の65%ほどであり、15%ほどは医療保険に加入していないと言われています。

日本では、医療保険を利用した治療費は国の機関である厚生労働省が決定しています。それに対し、アメリカは基本的には治療費を病院側が決定し、個人が加入している保険によって請求できる金額が変わるため、人によって治療費が違うということになります。

日本では、外来で病院に行く場合や薬を処方してもらう時、入院した場合も公的な医療保険が利用でき、自己負担は治療費の合計の3割程度で済むことが多いです。かかる病院も自分で選択することができます。しかし、アメリカでは、公的な医療保険では歯科は対象外であったり、外来に行く場合や薬を処方してもらう場合は、任意保険に加入する必要があったりと保険金の給付に制限があります。

また、民間の医療保険に加入していても、加入している保険会社によって、行くことができる病院が限られていたり、必要ないと判断された場合、保険金が受け取れず、全額自己負担しなければならないこともあります。さらに、アメリカの医療費は高額で、手術し、1日入院しただけでも100万円ほどかかるとも言われています。

日本とアメリカの民間保険の違い

アメリカの公的健康保険は加入できる方が限られており、医療費も高額になりやすいため民間保険の保険料も、比較的日本より高く設定されているケースが多いです。そのため、無保険状態の方も多く、医療費を支払うことができず自己破産される方もいらっしゃるそうです。また、アメリカでは実際に治療を受ける前に医師、保険会社と話し合い、支払い可能な範囲で治療をすることもあります。

日本の医療制度は整備されているため、自己負担割合は大幅に少なくなっています。また、医療費が高額になってしまっても、高額療養費制度などを利用できることにより、国民の負担は軽減されています。この医療制度があることで、民間保険に入らないと生活が成り立たなくなってしまうケースはあまり無いかと思います。

日本は公的な医療保険制度が充実している点で、総合的に見ると安心して医療が受けられると考えられますね。

複数の保険に加入すると

補償内容によっては別の保険会社で同じ補償を掛けることで、結果的に補償金額を上げることができますので、ひとつの商品では金額が充分ではないという場合、フリープランを組むことで補償金額を手厚くされる方もいらっしゃいます。また、複数の保険会社を比較し、条件に合ったプランへ加入することで費用を抑えることもできます。複数の保険会社を比較するには、様々な保険商品を取り扱っている保険比較サイトなどで保険料の一括比較が可能です。また無料相談をしてくれる代理店もありますので、上手に活用して、自身の目的に合った保険に加入することをオススメします。

保険の保障内容によって、実費としてかかった金額が保障される場合と、実費としてかかった金額は関係なく、あらかじめ決められた保障金額が受け取れる場合があります。

海外旅行保険の場合は複数社から保険金を受け取ることは可能か

海外旅行保険に加入する方法は、一般的に保険会社の海外旅行保険へ加入する方法と、クレジットカード会社に付帯されている海外旅行保険を利用する方法があります。

クレジットカード付帯の保険と一般の海外旅行保険が重複している場合、「死亡・後遺障害保険金」は保険金を合算して両方から受け取ることが可能です。「治療費用や携行品損害などの補償」は合計の保険金額を限度として、その金額の範囲内で実際の損害額を按分して支払われます。

※保険金を請求される際は、按分の比率などが分からなくても保険会社へご連絡していただければ問題ありません。参考までに按分の内訳を記載いたしました。

〈クレジットカード付帯の保険と一般の海外旅行保険が重複している場合〉

■事故により亡くなった場合

例)
A.一般の海外旅行保険での加入分(保険金額1,000万円)
B.クレジットカード付帯の海外旅行保険(保険金額1,000万円)

(A+B)を合算した2,000万円の保険金が支払われます。

■ケガをしてしまい、治療費用が300万円かかった場合

例)
A.一般の海外旅行保険での加入分(保険金額1,000万円)

B.クレジットカード付帯の海外旅行保険(保険金額500万円)

クレジットカード付帯の保険と一般の海外旅行保険で按分されて支払いされることになります。

按分の割合は、補償金額の比率によって異なります。この場合(A):(B)で考えると2:1の比率になるので、実際の治療費用が300万円だと

(A)の保険金支払い分は200万円

(B)の保険金支払い分は100万円という内訳になり、

200万円(A)+100万円(B)=300万円が支払われます。

クレジットカード付帯の海外旅行保険が複数枚あり、保険金が受け取れる場合、「死亡・後遺障害保険金」は、保険金を合算して受け取ることができません。その場合には、最も高く設定されている金額を限度としてそれぞれの保険会社から按分され、保険金を受け取ることになります。「治療費用や携行品損害などの補償」については、合計の保険金額を限度として、その範囲内で実際の損害額を按分して受け取ることができます。

〈クレジットカード付帯の海外旅行保険が複数枚ある場合〉

■事故により亡くなってしまった場合

例)

クレジットカード付帯の海外旅行保険(A社保険金額 500万円)

クレジットカード付帯の保険(B社保険金額 1,000万円)

最も補償額の高い1,000万円(A社B社が按分)が保険金として支払われます。

■ケガをしてしまい、治療費用が100万円かかった場合

例)

クレジットカード付帯の海外旅行保険(A社保険金額 300万円)

クレジットカード付帯の保険(B社保険金額 100万円)

それぞれ合算した400万円が限度となり、実際の金額である100万円(A社B社が按分)が保険金として支払われます。

内訳としては、この場合(A社):(B社)で考えると3:1の比率になるので、

A社の保険金支払い分は75万円

B社の保険金支払い分は25万円という内訳になり、

75万円(A社)+25万円(B社)=100万円が支払われます。

保険会社で加入する海外旅行保険には、キャッシュレスメディカルサービスを受けることができます。キャッシュレスメディカルサービスとは、海外で病院にかかって会計をされる際、ご自身で治療費を支払う必要がなく、保険会社が代わりに治療費を支払ってくれるというサービスです。高額になりがちな治療費用を立て替える必要が無いので、海外で手持ちのお金がない場合でも病院で治療を受けることができます。

しかし、クレジットカードに付帯されている海外旅行保険には、キャッシュレスメディカルサービスが付いていないものもあります。手持ちのお金がなくてもクレジットカードを使用して支払えばいいと思われるかもしれませんが、海外の病院で治療を受けた場合、治療費が数百万円以上になることもあり、ゴールドカードを持っていても使用上限金額を超えてしまうこともあります。そのため、事前にキャッシュレスメディカルサービスが補償内容に入っているかを確認し、入っていない場合には、保険会社の海外旅行保険と併用することをオススメします。

複数枚のクレジットカードを持っていると、治療費などの自己負担額が少なくて済むので安心感がありますね。ただし、多くのクレジットカード会社に付帯されている死亡・後遺障害保険金は、病気で死亡した場合、保険金を受け取ることができません。そのため、感染症にかかって死に至った場合などには、クレジットカードに付帯されている海外旅行保険では補償対象外になってしまいます。また、クレジットカードに付帯されている海外旅行保険は3ヶ月以内の短期の旅行が対象になる点や、お手持ちのカードによってはクレジットカードを海外旅行に持って行くだけで補償が受けられる「自動付帯」と、旅行代金を該当のカードで支払わないと補償が受けられない「利用付帯」がある点にも注意が必要です。

海外旅行保険の加入を検討されている方は海外旅行保険比較サイト「i保険」をご覧ください。

お電話で海外旅行保険の資料請求・お問い合わせはこちら【通話無料】募集代理店:アイ・エフ・クリエイト0120-207-207【受付時間】9:30~18:00(日曜、祝日は除く)

この記事を書いた人

伊藤菜央(株式会社アイ・エフ・クリエイト 保険コンサルタント) 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)