フランス留学生の公的医療保険

フランスの医療保険制度についての記事では、フランスの医療保険制度全体の概略を、ご紹介しました。この記事では留学生に関係してくる内容をご紹介いたします。

■もくじ(ページ内リンク)

留学生にとってのフランス基礎医療保険

・Sécurité sociale des étudiants(基礎学生医療保険)

・医療制度における職域ごとの基礎保険

・PUMA(基礎CMU)

・Mutuelle santé des étudiants(学生相互保険)

・CMU complémentaire(補足的CMU)

留学生にとってのMutuelleを選ぶポイント

海外旅行保険を考える

留学生にとってのSécurité sociale:メリット・デメリット

<留学生にとってのメリット>

<留学生にとってのデメリット>

フランスの医療費について

留学生にとってのフランス基礎医療保険

フランスの医療保険制度は2階式になっており、1階部分は基礎医療保険、2階部分はMutuelleという任意保険であることは前回ご紹介した通りです。

この基礎部分への加入は、フランスに定住、または3ヶ月以上の長期滞在をする方に加入が義務付けられています。一方、学生の就学状況や生活状況には個人差があり、条件によって加入する医療保険に違いが出てきます。主な選択肢が以下の通りです。

・Sécurité sociale des étudiants(基礎学生医療保険)

・医療制度における職域ごとの基礎保険

・PUMA(基礎CMU)

それぞれの内容について、順にみていきましょう。

・Sécurité sociale des étudiants(基礎学生医療保険)

フランスの高等教育機関や語学学校などに就学する場合、一般的には学生用の医療保険へ加入します。ここでいう「Mutuelles étudiantes」は機関名のことで、「学生共済保健センター」を意味します。もう一つの保険制度であるMutuelle(任意保険)ともここでは意味が異なります。

<条件>

・フランス居住者及び3ヶ月以上の適法滞在者で、高等教育機関に就学する18~28歳の方

※基本的には、フランス政府公認の高等教育機関となっているが、語学学校(特に大学付属)もこちらに含まれる場合があります。各学校登録時に保険手続きに関する指示があるので(ホームページなどでも確認)、留学生個人でも必ず確認すること。

手続き場所

・登録する高等教育機関などを通じて、Mutuelles étudiantesに登録

※以下のMutuelles étudiantesを選択し、登録を行う。

・LMDE(La mutuelle des étudiants) https://www.lmde.fr/

・SMEREP https://www.smerep.fr/

・emeViaというネットワークに登録している、居住地最寄りのMutuelles étudiantes http://www.emevia.com/

保険料

・年間215ユーロ(2016-2017年度例)

※1年度は、9月1日から翌年の8月31日を指す。

※保険料納付に関して、希望があれば1年度中の3回払いが可能。

※フランス政府からの奨学金を受給している方は、保険料が免除となるので、受給証明書を手続きの際に提出する。

※登録時点で20歳未満の学生は保険料が免除。

※複数の高等教育機関に登録している(大学と語学学校など)場合、保険料の支払いは、1年度につき1回のみ。最初に登録を行う教育機関で支払う。また、支払いを済ませたら、必ず支払証明書をもらうこと。そちらを他の教育機関に提示することで、保険料納入済みの証明となる。

※高等教育機関1年次の登録が1月1日以降になる場合、その年度の保険料は半額となる。しかし、1月1日からその年の12月31日までを1年度としている教育機関においては、こちらの措置は適応されない。ご自身の登録期間と大学の定める年次ごとの登録期間を確認すること。

<必要書類>

・大学の登録書類(本登録時に加入手続きを行うため)

・Sécurité sociale des étudiantsの登録用紙(各教育機関で記入)

・フランスのRIB(銀行の口座情報)

・必要に応じてその他書類

フランス政府の奨学生:奨学金受給証明書

複数の教育機関に登録している場合:1校目の保険料支払証明書

※書類に関しては、各教育機関の指示に従ってください。

29歳以上の留学生の場合>

・主に、CMUに加入する(当サイト別記事内国民皆保険であるフランスの医療保険制度をご参照ください)

・教育機関によって対応が異なる場合があるので、各教育機関にご確認ください。

例外的にSécurité sociale des étudiantsが認められる場合

・28歳になる前にDoctorat(博士課程)に登録しており、29歳以降も継続して在籍する場合(1から4年間の延期)

・29歳以上の医学部及び薬学部の6年生(1年間の延期)

・特別な医学資格取得を目指す医学部生(1から4年間の延期)

・28歳以前に登録を済ませ、29歳以降も継続して在籍する恒常的な身体障害者

など

その他にも特殊事項があることが考えられます。加入申請の際には、上記の内容も含め、登録する教育機関に確認するようにしましょう。

・医療制度における職域ごとの基礎保険

留学中、一定の条件で就労する場合、その勤め先を通じて基礎医療保険に加入できます。その際、学生医療保険への加入は義務ではなくなります。

なお、6ヶ月以上滞在可能な長期学生ビザを持つ留学生は、週20時間(年間964時間)を限度にフランスで働くことが認められています。

・9月1日以降に始まる労働契約を持っている

・学校登録期間中に3ヶ月で150時間以上、もしくは年600時間以上の労働を行う

上記2点を満たす場合、一般の基礎保険が適用されます。

また、ワーキングホリデーで渡航されている方も、勤め先を通じて基礎医療保険へ加入することができ、最寄りのCaisse d‘assurance maladieの事務所で諸手続きを行うことになります。

保障内容は基礎保険と同様ですが、職域ごとに差がある可能性もありますので、勤め先や最寄りの事務所にお問い合わせください。

なお、長期休暇中などに期間限定労働を行う場合は、こちらのパターンに当てはまりません。Sécurité sociale des étudiantsないしはPUMA(基礎CMU)に加入する必要があります。

また、留学期間の年度途中にアルバイトを始める場合、まずは所属する教育機関に確認を取るようにしてください。就労状況や留学生の身辺状況によって対応が異なる場合がありますので、必要に応じて最寄りのCaisse d’assurance maladieに相談しましょう。

・PUMA(基礎CMU)

学生用の基礎医療保険に該当しない留学生などは、基本的にPUMA(Protection Universelle Maladie)に加入することになります。

<条件>

・フランス居住者及び3ヶ月以上の適法滞在者

・29歳以上の者

・仕事に就いていない、または所得が基準以下の者

<保険料>

・無料

<手続き場所>

・居住地最寄りのCaisse d’assurance maladieの事務所

※郵送または直接出向いて手続きを行う。

※郵送の場合は、必ず書留で送ること。

※事務所で直接提出する際は、予約が必要な場合もあるので、事前に最寄りの事務所に確認すること。

<必要書類>

・CMUの申請用紙 https://assurance-conseil.com/wp-content/uploads/2016/03/Formulaire-735-cnamts.pdf

・フランスの銀行残高証明

・フランスのRIB(銀行の口座情報)

・出生証明書(フランス語訳・翻訳査証付)

・戸籍謄本(フランス語訳・翻訳査証付)

・パスポートの原本・コピー

・滞在許可証の原本・コピー

※コピーでの提出を求められている書類以外も、コピーを取って保管しておくと安心です。

やはり国民皆保険を掲げているフランスだけあって、留学生に対しても現地学生と同様の扱いがなされます。費用はそこまでかからずに保障が得られるのは、非常にありがたいことですよね。しかも、一定の所得以下の方がPUMAに加入した場合、保険料は無料となります。その他の条件もありますので、渡仏前に少し整理をしておきたいですね。

留学生にとってのMutuelle

留学生にとっての補足医療保険(Mutuelle)についてご紹介していきます。基礎医療保険を補う役割を持つ2階部分。先述している通り、Mutuelleの加入率が90%近くに上ることからも、フランスでは国民にとって欠かせないものであることが想像できます。現在では、Mutuelle CRが出来たことにより、より多くの人にとって身近なものになったといえるでしょう。

もちろん、学生に対してもMutuelleが準備されています。留学生が対象となるものは、以下の2種類が考えられます。

・Mutuelle santé des étudiants

・CMU complémentaire(補足的CMU)

これらについても、概要を見ていきましょう。

・Mutuelle santé des étudiants(学生相互保険)

高等教育機関(語学学校等も含む)に在籍する学生も、基礎保険と組み合わせてMutuelleに加入する方は少なくありません。そのような希望者に提供されているのが、Mutuelle santé des étudiantsです。いくつかの保険会社から、複数のプランが提示されており、通常はSécurité sociale des étudiantsへ加入する際、その保険会社を通じて、提示されているMutuelleをオプションとして選択することとなります。

後日、Mutuelleに加入を希望する場合は、基礎保険に選んだ保険会社へ問い合わせをしてみましょう。

基本的にSécurité socialeで保障される医療行為がMutuelleでも保障の対象となり、Sécurité sociale対象外の医療行為は、プランによって異なります。

また、加入する内容によって償還率も異なります。Mutuelleの償還率も、Sécurité socialeの算定基準がベースとなります。簡単な医療費の計算例を下記に記載いたします。

(例:セクター1のかかりつけ一般医を受診し、Mutuelle償還率150%)

① 診療費25ユーロ

② Sécurité sociale負担分:算定基準(25ユーロ)の70%=17,5ユーロ

③ 自己負担分:算定基準の30%(①-②)=7,5ユーロ

④ Participation forfaitaire:1ユーロ

⑤ Mutuelle償還可能分:25ユーロの150%=37,5ユーロまで償還可能

③は⑤保障の範囲内であることから、すべて償還されることとなります。

合計自己負担分:1ユーロ

当然保険料が高くなればそれだけ保障が手厚くなりますので、ニーズを把握した上で適切なプランを選択するようにしたいですね。

・CMU complémentaire(補足的CMU)

基礎保険を補う、主に低所得者を対象とした医療費補助がこちら。基礎CMUはPUMAに変わりましたが、補足的CMUは名前もそのまま残っています。留学生でも、一定条件を満たす場合には、無料で補足的CMUの恩恵を受けることが可能な場合があります。

留学生の場合に絞って、条件などの基本的な情報を見ていきましょう。

<条件>

・フランス居住者及び3ヶ月以上の適法滞在者

・無職または、所得が基準以下である

※収入上限:8723ユーロ/年(2017年1月現在の基準で、家族無しの場合)

※条件に当てはまるかどうかは、最寄りのCaisse d’assurance maladieで確認

手続き場所

・居住地最寄りのCaisse d’assurance maladie

※申請の際には、加入する補足的CMUの機関を選ぶ必要がある。リストは以下を参照。

※補足的CMUに参加している機関リスト https://www.ameli.fr/content/liste-des-organismes-complementaires-autorises-participer-la-cmu-complementaire-au-titre-de-lannee-2016

※補足的CMU参加機関が検索可能な「CMU公式サイト」 http://www.cmu.fr/

<必要書類>

・申請書類S3711 https://www.ameli.fr/content/demande-de-cmu-complementaire-ou-daide-au-paiement-dune-complementaire-sante-acs

・収入証明書(過去12ヶ月分、日本・諸外国での収入を含む)

※銀行の残高証明で可能か否かは、要確認

・滞在許可証またはパスポート

・フランスの住居証明

※過去3ヶ月の家賃支払証明書、3ヶ月以上の賃貸契約書、または直近2ヶ月の電気料金や電話料金の明細。ホテル暮らしなどの場合には、そこの滞在を証明するもの。

・Carte Vitaleの番号(すでに基礎保険に加入している場合)

・教育機関の登録証明書(学生証など、必要があれば)

更新について

・1年ごとに最寄りのCaisse d’assurance maladieで行う

・保障期限の2ヶ月前には手続きを行うこと

<主な保障内容について>

・病気・ケガ・出産にかかる、自己負担分の通院・入院・検査・薬剤費

・患者の自己負担が必須である1ユーロの支払免除

・その他、眼鏡や歯科の人工装具等の自己負担が大きい費用

・Carte Vitaleの提示により、立替払いが可能

など

※基礎CMUの保障範囲外、すなわち自己負担分を保障すると考える。

※年間上限あり:200ユーロ/年(16から49歳の場合、2017年7月現在)

※かかりつけ医を通すなど、医療連携に従うことが義務であり前提。

他にも細かい部分は多々ありますが、概要はこのような形になります。条件や審査基準が非常に細かく、制度が複雑になっています。特に長い期間の留学になる場合は、補足的CMUという手段があるということも、頭に入れておくといいでしょう。

留学生にとってのMutuelleを選ぶポイント

Mutuelleには、Sécurité socialeでカバーしきれなかった自己負担分をまかなうという役割があり、そのプランは保険会社によってさまざまです。もちろん学生向けのプランも準備されており、加入していればいざという時に安心ですね。ここでは、Mutuelleを選ぶ際のポイントとして、何点か紹介しますので、現地で保険を考える時の参考にしてください。

1.自分の健康状態にあったプランを選ぶ

留学生の場合には学生向けのMutuelleを選ぶことができ、学生の間は保険料が変動しないプランがほとんどです。ただし、保険料はプランの充実度に応じて高くなっていきます。選択する際に、健康状態や滞在期間、保険料などを考慮した上でご自身の負担にならないプランを選びましょう。

2.必要な保障内容を見定める

1.を前提とした上で、Sécurité socialeの保障を考えながら、追加で保障があると安心な分野を見定めましょう。例えば、眼鏡やコンタクトレンズ費用などの基礎保険の償還率が低い分野についてですが、普段から眼鏡やコンタクトレンズを使用している留学生にとっては、あると安心な保障ですよね。

他には、歯科装具などの医療費が高い分野ですが、自己負担が高額になるものに関しては、Mutuelleがあると安心といえます。

3.保障開始時期を確認する

Mutuelleには、契約後の一定期間は医療行為を受けても保障されない期間(待機期間)が設定されていることが多々あります。これを「Délai d’attente」または「Délai de stage」と言い、医療行為が予定された後にMutuelleの支払いを当てにして契約する事態を防ぐ意味合いがあります。

4.医療費を立て替える必要があるのか確認する

先述している通り、Carte vitaleを提示すれば、自己負担分のみの支払いができるようなケースが増えてきましたが、フランスでの医療費支払いは、基本的に一旦医療費を全額ご自身で立て替える必要があります。Mutuelleに加入する際は、支払い方法について事前に確認すると良いでしょう。

■もくじ(ページ内リンク)

留学生にとってのフランス基礎医療保険

・Sécurité sociale des étudiants(基礎学生医療保険)

・医療制度における職域ごとの基礎保険

・PUMA(基礎CMU)

・Mutuelle santé des étudiants(学生相互保険)

・CMU complémentaire(補足的CMU)

留学生にとってのMutuelleを選ぶポイント 今ココ

海外旅行保険を考える

留学生にとってのSécurité sociale:メリット・デメリット

<留学生にとってのメリット>

<留学生にとってのデメリット>

フランスの医療費について

海外旅行保険を考える

海外渡航の際に、考えなくてはならないのが「海外旅行保険」です。これまでフランスの医療保険制度を見てきましたが、2017年現在、フランスへ長期滞在する際は基礎医療保険に加入することが、義務付けられていることがわかりました。

では、日本で任意保険に加入する必要はないのでしょうか。海外旅行保険は、フランスの公的医療保険にはない補償があり、「海外渡航時に万一のことがあった時」を想定して作られた保険ですので、何らかのアクシデントが起きた際にも安心です。

万一、海外で何らかのトラブルに遭ってしまった時は日本の任意保険に加入しておくと、サポートを受けることもできますので、加入しておくことが望ましいです。こちらの項目では、フランス医療保険制度のメリット・デメリットをご紹介いたします。

 留学生にとってのSécurité sociale:メリット・デメリット

Sécurité socialeと一口に言っても、例外事項や付随する諸制度の存在があり、外国人にとってすべてを理解することは簡単ではありません。しかし、フランスの医療保険に加えて、海外旅行保険にも加入するのであれば、保険を複数持つことになることになります。そのように考えると、なるべく効果的な保険の組み合わせを目指したいものですね。

そこでまず、これまで知識を深めてきたフランス医療保険ついて、メリット・デメリットを確認しましょう。

<留学生にとってのメリット>

・民間の任意保険に比べて割安で、フランス人と同様の医療保険を享受できる

Sécurité sociale des étudiantsには、年間で約200ユーロの保険料で加入できます(2017-2018年度)。また、基礎CMUなどといった幅広い選択肢もフランス人同様に与えられ、Mutuelleとの同時加入で医療費の負担を軽減することができます。海外旅行保険は、公的な医療保険と比較すると保険料が高くなる可能性があります。

・歯科や視力矯正器具(眼鏡・コンタクトレンズ)などにも及ぶ保障内容

Sécurité socialeのみであっても、歯科や眼科で受診する費用はもちろん、眼鏡のレンズ・フレームなどの矯正器具も、保障を受けることができます(上限あり)。こちらにMutuelleを追加すれば、自己負担額をさらに軽くすることができます。

一方、海外旅行保険は偶発的な事故による、ケガや病気が補償の対象となっているため、歯科治療(保険会社や条件によっては歯科治療費用の補償は付帯可能)や視力検査などは給付の対象外となってしまいます。

・フランス国内における患者の移送費用も一部負担

状況により医療機関に通えない、救急での搬送が必要な際などに、医療機関までの交通手段が必要となりますが、こちらも65%をベースに費用の償還が受けられます。前もって医師からの許可を得て、指示箋が必要となります(救急の場合は事後に記入してもらう)が、こちらも万が一の場合に大変助かる保障です。

・複数の制度で成り立つ医療保険

フランスの医療保険制度は、複数の保障制度が相互補完しながら成り立っています。長期の留学生であっても、28歳以下であれば学生医療保険の対象であり、29歳以上であればCMU(PUMA)があります。(滞在期間・条件によるところは注意)。

<留学生にとってのデメリット>

・フランス医療制度の複雑さへの理解

フランス医療保険のデメリットは、制度自体の複雑さではないでしょうか。これまで見てきたように、留学生に関連するであろう項目に絞ってご紹介してきましたが、複数の制度が並立、または補完し合っています。各人の状況や諸条件によって、適用される保障が異なり、各保険の規定も非常に細かく設定されています。現地の方でもすべてを把握するのは難しいと言われているので、留学生にとってはより困難ですよね。

・加入手続きの煩雑さと時間がかかる点

制度自体の複雑さに関連して、加入手続きの煩雑さが留学生の負担となる可能性があります。 28歳以下の留学生であれば、高等教育機関への登録時に進められますが、29歳以上の場合はご自身でAssurance maladieの事務所へ足を運び、全てご自身でやり取りをする必要が出てきます。

フランス語でやり取りをし、必要書類を準備しなくてはいけません。また、フランスは、日本のように親切ではありません。担当者によっても対応は全く異なるため、手続きがなかなか進まないということもあります。

先述している通り、順調に申請ができたとしてもCarte vitaleが手元に届くまでに3ヶ月程度かかると言われています。さらにそこから遅れるとなると、留学の期間によっては間に合わないことも考えられます。

無保険状態で、医療機関を受診した際は、高額な医療費を支払うことになってしまうため、海外旅行保険の加入しておくと安心です。

実際にSécurité socialeの加入申請をする際には、Assurance maladie事務所や現地の医師・薬剤師、知り合いなどに相談しながら手続きを行うことをおすすめします。

・かかりつけ医を通す医療連携の複雑さ

フランスではかかりつけ医制度が採用されいるため、かかりつけ医を通さずに他の医師を受診する場合、Sécurité socialeからの償還率が悪くなってしまいます(一部例外あり)。

かかりつけ医の登録は義務ではありませんが、登録する場合はご自身でしなくてはなりません。すぐに医師が見つかるのか不安になってしまいますよね。勝手が分からない部分や、日本語での対応ができないという部分は、ストレスになってしまいます。

・支払い方法の違いによる手続き

フランスの医療保険は、さまざまな制度によって手厚い保障を受けられる可能性があります。しかし一方で、医療費をご自身で立て替える必要がある場合、一時的とは言え、留学生にとって負担がかかってしまいます。

一時的な高額の診療費負担が起こりうる点は、頭に入れておいた方がよいでしょう。

・主にフランス語でのやり取りとなる点

現地の医療保険に加入するので、当然ですが、手続きは基本的にフランス語で行うことになります。語学力に不安のある方やフランスの生活に慣れていない状態の留学生にとっては、大変な労力となるでしょう。自ら調べて行動することは重要ですが、手続きに手間取るなどの事態も想定できます。必要に応じて高等教育機関のスタッフなどに協力を仰ぎながら、医療機関やAssurance maladieとやり取りを行いましょう。

・医療行為に関連する保障のみである点

Sécurité socialeは医療保険ですので、医療行為に関する保障が対象となります。

ご自身に万一のことがあった時、日本からご家族が駆けつける費用や、法律上の賠償責任を負った際の費用などについては、海外旅行保険や現地の保険で準備して頂くこととなります。

高等教育機関や公立の語学学校によっては、損害賠償に関する保険加入を義務付けられていることがあります(現地の保険だと、Mutuelleのプランに付帯していることが多い)。

フランスの医療費について

欧米は日本に比べて医療費が高いと言われていますが、実際はどうなのでしょうか。フランスは、アメリカやカナダに比べると医療費は安いですが、EUの中ではイギリスと並んで医療費が高いと言われています。また、その時々のレートによっては自己負担が大きくなってしまう可能性もあります。

海外旅行保険比較サイトi保険では、世界の医療事情などのお役立ち情報をまとめていますので、気になる方はご参照ください。

Sécurité sociale及びMutuelleによって、診療費等はカバーがされますが、Mutuelleに未加入であったり、Sécurité socialeに加入できなかったりする場合は、自己負担額が高額になることが考えられます。

Sécurité socialeの償還率などと共に、フランスの医療費が世界的に高い部類に入ることを頭に入れて、海外旅行保険などを選んでいきましょう。