フランス留学を終え、住居を引き払う

フランスへ留学していた皆さまは、どのような住まいで生活をされてきたのでしょうか。また、その住まいでの生活は充実していたでしょうか。そんな慣れ親しんだフランスでの住まいも、帰国にあたって引き払うことになりますね。

フランスで住まいを決めるに際は、いくつかの居住形態がありました。引き払う際の手続きもそれぞれ異なります。ここでは、各居住形態に対する退出手続きについて、一般的な流れを確認していきましょう。

■もくじ(ページ内リンク)

一般の賃貸住宅からの退去

学生寮からの退去

ホームステイ先からの退去

住宅保険の解約

一般の賃貸住宅からの退去

アパートやステュディオといった賃貸住宅から退去するには、いくつかの手続きが必要となります。

<貸主(大家または不動産屋)に退去の届け出を行う>

フランスの法律に則ると、アパートなどの借主は、貸主に対して、退去予定日の一定期間前に退去の連絡をしなくてはなりません。これをpréavis(プレアヴィ)といいます。préavisの期間は、住居の形態や契約期間などによって異なります。

一般的な家具無しアパートは、退去予定日から遅くとも3ヶ月前には、書面での退去届を貸主側に郵送しなくてはいけないとされています(1989年7月6日法)。つまり、退去届が受理されてから、早くて3か月後の退去が可能ということになりますね。préavisは一定期間前までに退去申告をしないと、家賃を1ヶ月分余分に払う必要が出てきてしまいます。帰国日が判明している場合には、早めに貸主側へ連絡を入れましょう。

また、家具付きアパートや大学付属の学生寮、そして借主に急な転居などのやむを得ない理由がある場合、一般的にpréavisの期間を1ヶ月にしてもらえることが多いようです。

これらの指示や規定は、賃貸契約書に記されています。必ず退去前に契約書の内容を確認し、必要があれば貸主側に問い合わせてください。

退去届の記入例が下記のサイトで参照できますので、活用ください。

Exemples de lettre .com: https://exemples-lettres.com/modele-de-lettre-de-resiliation-de-bail-exemple-gratuit/

<退去前に貸主による部屋の状態チェックを受ける>

退去時は、入居時の部屋の状態にできるだけ近づけ、きれいにしておかなければなりません。退去する際に、「État de lieux(エタ・ドゥ・リユー)」という部屋の状況確認を行います。少しでも保証金の返還率が上がるように、なるべく入居時の状態に戻すよう掃除しましょう。

退去届を出した留学生は、貸主側に連絡を取り、この「État de lieux」の日取りを決めてください。

入居時の賃貸契約書を見ながら、備品などの欠如がないかどうかをチェックしておきましょう。立会い当日、賃貸契約書に記されている入居時の状況と、貸主の持つチェック項目に従って、留学生は貸主と共に退去時の部屋の状態を確認していきます。

この時、入居時に気になるところを撮影した写真などがあれば、一緒に提示すると効果的です。同時に、電気やガス、水道などのメーターを確認。その場で電力会社などにメーターの数値を報告し、公共料金の停止手続きを行います(基本的には事前に各社へ連絡しておくこと。多くは退去日に電力会社等の立ち合いの下、メーターの数値を確認し、停止させます)。その後、問題がなければ、退去確認書類にサインをし、鍵を貸主に返却することで、退去の手続きは終了となります。

État de lieuxの結果に従い、入居者である留学生が責任を負うべき損失を差し引いて、保証金は留学生に返金されます。鍵の返却から、遅くとも2ヶ月後までには返金が行われるとされています。返金方法は銀行振り込みが多いですが、留学生の場合は、退去後に帰国することになるかと思いますので、貸主側と返金方法についてご相談ください。

尚、État de lieuxを行った際に、明らかな経年劣化に対しても留学生に補償するよう要求する貸主が稀にいます。万一、貸主側から要求された場合には、はっきりと断りましょう。

<電気・ガス・水道の停止>

こちらは、退去日の前に余裕を持って、各公共エネルギー会社に退去の旨を伝えるようにしましょう(電話または最寄りの営業所で)。必要があれば、退去日に合わせてメーターチェックの立ち合いを依頼します。立ち合いの時には、État de lieuxと共に貸主にも立ち会ってもらうと安心です。

立ち合い不要で、退去時に確認したメーターの数値を各社に伝えるだけで良い場合は、可能であれば貸主と共にメーターを確認し、その数値を控えるようにしてください。

<インターネットの解約>

多くの留学生は、フランスの住居でもインターネットを利用していたのではないでしょうか。退去時には、インターネットも解約する必要があります。

基本的な解約の流れを説明すると、契約しているインターネット会社(プロバイダー)に文章で解約したい旨を伝えます。解約届を記入したら、必ず書留で郵送してください。

解約届例は、以下のサイトを参考にしてください。

modèle-lettre-type.com‘: http://www.modele-lettre-type.com/resiliation/lettre-resiliation-abonnement-internet.php

提出後、解約届が承認された旨の通知が郵送されてきたら、その指示に従って残りの手続きを進めます。インターネットのボックスなどの備品を送り返す必要があれば、必要書類が同封されてきますので、そちらと共に梱包し、郵送してください。

解約届け出の返信が来ないとなど、何か問題があるときは、早めにプロバイダへ連絡を取るようにしてください。

また、インターネットと同時に電話回線の契約をしている場合は、インターネットの解約と共に、電話回線の解約も依頼しましょう。

学生寮からの退去

学生寮には、大きく分けて「大学付属」と「民間運営」のものがあることは、「フランス留学の際の住居の探し方や決め方」で述べたとおりです。

退出時の手続きに大きな差はなく、一般的な賃貸住宅と同様の規則が適用されます。ただし、それぞれの賃貸契約に記された内容が第一に尊重されますので、退出手続きをする前に契約書の確認を忘れずに行ってください。

下記に、学生寮から退去する際の注意点をいくつか挙げておきます。

<大学関連の学生寮からの退去>

Cité universitaireと呼ばれる大学関連の学生寮の場合は、アパートなどの賃貸住宅と違い、電気やガス、水道料金が家賃に組み込まれていることが多いです。その場合、留学生自身が各エネルギー会社に解約の連絡をする必要はありません。

インターネットについても、入居している学生寮に付属している回線を利用している場合、留学生自身の解約手続きは必要ありません。ただし、一般的な例ですので、入居時の契約書を確認、または貸主に確認するようにしましょう。

また、退去時の書面での届け出も、不要なケースが多く見受けられます。しかし、寮によって手続き方法が異なることもありますので、ご注意ください。

書面での届け出が不要な場合も、受付窓口でÉtat de lieuxの日取りを予約し、チェックを受けた後、鍵を返却して退出することとなります。

その他、学生寮によっては、次年度の留学生のために、使用した生活用品を預けておくことができる場合があり、これを「Dêpo de bagage(デポ・ドゥ・バガージュ)」といいます。利用の際には、退去前に寮の受付でDêpo de bagageのチケットをもらい、指示された日にまとめた荷物をそのチケットと共に倉庫へ納めます。チケットの半券を受け取り、帰国したら来年度の留学生に渡す、という流れになります。取り扱いの有無は、前年の留学生や寮の受付へお問い合わせください。

<民間が経営する学生寮からの退去>

民間経営の学生寮は、一般の賃貸住宅と同様に、退去時の書面で届け出が必要なケースが多く見受けられます。賃貸契約書に従った手続きを取りましょう。

電気やガスなどの公共エネルギーやインターネットについて、個人で契約している場合は、留学生自身で解約の手続きを行う必要が出てきます。こちらも賃貸契約書、または貸主に確認をしながら進めてください。

前述している「Dêpo de bagage」は、民間の学生寮で扱っていませんので、退去する際には、ご自身で生活用品などの整理や処分を行いましょう。

ホームステイ先からの退去

ホームステイの場合、退去方法はホストファミリー(または斡旋会社)との契約内容によります。各ホームステイ先で手続きが異なることが考えられますので、契約書の内容をよく確認し、必要に応じてホストファミリー(または斡旋会社)へ問い合わせましょう。

ホームステイと不動産賃貸では形が異なるため、滞在期間満了時には、特に事前の退去連絡は不要であると考えられます。滞在予定期間満了前に退出することになる場合には、なるべく早めにホストファミリーなどへ連絡してください。

退出する際は、しっかりと掃除をし、なるべく元の状態に戻してから、使った部屋をホストファミリーに返しましょう。

住宅保険の解約

賃貸住宅を借りて生活された方は、住宅保険に加入したかと思います。帰国前に住宅保険の解約もしなければなりません。

保険会社によって解約方法は異なりますが、一般的な解約方法を紹介します。詳細は各保険会社の指示に従ってください。

フランスの住宅保険契約は、基本的に1年毎の自動更新となります。1年間の留学であれば、最初の更新を行うことなく帰国することになりますが、まずは契約期限を確認してください。その上で、契約期限の2ヶ月前までには、書面で保険会社へ解約の通知をしましょう。その後、保険会社から連絡が来ます。

例えば1年間の滞在・留学で、契約期限が住居からの退去日近くであれば、そこから2ヶ月前には連絡をした方が良いでしょう。

しかし、中にはさらに短い期間で留学している方もいることと思います。このように、数ヶ月の滞在後に解約をする場合も、同じように2ヶ月前をめどに解約の連絡をしてください。ただし、送付する「Lettre de résiliation」上に、留学生である旨の事情を説明しておくことをおすすめします。また、念のために電話などでも保険会社の担当者に事情を伝えておきましょう。先払いした分の保険金は払い戻しされますので、そちらも併せて確認してください。

ちなみに、数年にわたってフランスに留学しており、初回の契約更新を終えているようであれば、その後は契約期限日に関係なく、いつでも希望した時点で解約できます。その際にも、通知は書面を郵送する形で行います。フランスで住宅保険を解約するには、何年契約している方でも基本的に契約期限日が基準でした。しかし、2015年1月1日以降、最初の更新を終えた者に対しては、この形が取られるようになっています。

解約届は、必ず書留で出すようにしましょう。Lettre de résiliationの参考例が以下のサイトにあります。活用してください。

linternaute: http://www.linternaute.com/argent/pratique/economiser-au-quotidien/resiliation/16018/resiliation-d-assurance-modele-de-lettre-type.html