フランスでの学生生活の日常とフランスの文化、留学中の旅行について

渡航までの手続きを終えると、ようやくフランスでの生活をスタートできますね。フランスで新生活を迎える方は、期待と同時に不安も感じると思います。こちらの項目では、筆者がフランス生活の中で、感じてきたことを織り交ぜながら、留学生の生活に有意義な情報をまとめていきます。日本でも東京と地方では異なる部分があるように、フランスでも街や地方によって環境が異なることは多々あります。筆者が滞在している、南フランスでの生活をベースとして、一般的なお話をいたします。

■もくじ(ページ内リンク)

高等教育機関の学生生活について

フランスの文化に触れる

フランス国内を移動・旅行をする

<フランスの交通機関、主にフランス国鉄とその利点について>

<フランスの交通機関とその注意点>

高等教育機関の学生生活について

フランスの高等教育機関は基本的に9月から始業します。

公立の大学を例にすると、9月の2週目頃からオリエンテーションが始まり、その後授業が開始されます。9月末頃に履修する授業を選択し、前期の時間割が確定する、という形が大まかな流れです。

後期は、お正月明けの前期試験後の1月半ばから開始し、1月中に授業を確定させることになります。最終的に4月半ばから末頃まで授業が行われ、5月の後期試験に臨み、学校での1年が終了します。

ちなみに大学付属の語学学校においても、通年で履修する場合は、基本的に大学と同じ期間が適用されます。一方で、私立の高等教育機関や語学学校、短期で留学・履修する特殊なコースなどはその限りではありません。いずれにしても、必ず所属する教育機関に確認しながら、履修登録などを進めるようにしましょう。

留学中は、履修する時間割に合わせて生活を組み立てていくことになりますが、専攻や留学形態などによって一週間の授業数は異なりますよね。履修科目の多い方は、その分学校で過ごすことが多くなるかと思います。学生たちは学内のどういった場所で過ごしているのか、いくつかご案内いたします。

図書館はフランスでも多くの学生が、授業の合間の待ち時間などに利用します。登録後に受け取る学生証で入館と本の貸借ができますし、授業の復習やレポート、発表の準備などに勤しむ学生の姿が目に付きます。フランスは、試験でも論述を求められることが多く、発表やレポートも日本より頻繁に行われているように感じます。

ちなみに大学付属の語学学校に通う場合、通常はそちらの図書館を利用可能ですが、私立の語学学校や専門学校には、図書館がない場合もあります。その際は、街中にある公立図書館などを利用すると良いでしょう。

カフェテリアや学食は、食事だけではなく、友人との待ち合わせや仲間との時間を過ごす方も多く、学生で賑わっています。公立大学では、基本的にCROUS(地域の大学生活センター)が運営するレストランやカフェテリアが入っています。価格例で言うと、レストランの前菜、メイン、デザートのついたランチメニューで3,5〜5ユーロ程となっています。街のレストランで食事をすると、10ユーロ以上掛かるため格安であることが分かりますよね。また、カフェテリアのバゲットのサンドイッチも、2ユーロ程で購入できます。

一方、私立の語学学校に関しては、学内のレストランなどは設置されていないことが多いです。学食がない場合、ご自身でお弁当を作ってくるなどの工夫が必要かもしれませんね。学校によっては、学内に交友スペースが設置されており、そちらで様々な学生と交流を深めることができる場合もあります。こうしたスペースを有効に活用してみるのも、学校に居る時間を充実させるための良い手段となります。

なお、授業を受けるために講堂や教室で過ごす時間も多いかと思います。教育機関や授業にもよりますが、公立の総合大学の授業時間は、1コマ2時間~3時間(途中休憩が入ることもあります)と授業時間が日本よりも長くなっています。履修の組み方次第では、お昼休憩以外のほとんどを教室で過ごすような日が出てくることもあります。慣れない言語での授業は、集中力を長時間保つのはなかなか大変ですので、休憩時間を利用して上手に気分転換をし、有意義な留学生活を送れるようにしたいものですね。

フランスの文化に触れる

異国での生活は、街の景観、風習、催し物など、日本とは異なる文化を体験する大変貴重な経験になりますよね。特に滞在が長期であればあるほど、より深く感じることができます。

せっかく異国に滞在しているのであれば、積極的に関わっていきたいですよね。特に文化施設は、学生への優遇が豊富です。美術館や博物館、劇場、映画館などの施設では、学生証を持参すると学割が適用されることが多いです(年齢が制限されているケースもあります)。頻繁に訪れる施設があれば、年間パスを作ってしまうのも良い方法です。また、文化施設によっては、学生限定で夜間無料開放などのイベントを開催している場合も見受けられます。

フランスは芸術の都ですので、一度は触れておきたいですね。こういった情報は滞在する街の観光案内所や留学先の学生課などで、確認ができます。

なお、12月に開かれるクリスマスの市や6月頃に各地で開催される音楽祭など、街全体が盛り上がる催しも多くあります。地域によって特色が違うので、他の街にも足を運んでみることをおすすめします。貴重なフランス留学ですので、現地の雰囲気を思いきり味わいましょう。

フランス国内を移動・旅行をする

せっかく海外へ来たのなら、色々な場所でたくさん経験を積みたいですよね。留学は、単位や資格を取るだけが目的ではありません。学業に加え、海外で経験したことを通じて、学びを得ることが大切です。

こちらの項目では、留学中の旅行における交通機関の情報、注意点をご紹介します。限られた情報にはなりますが、慣れないフランスでの移動や旅行の参考にしていただけると幸いです。

フランスは各地方で表情が豊かで、歴史的・文化的にも見所がたくさんあります。また、ヨーロッパ諸国や北アフリカ方面へのアクセスも良いので、留学の機会にぜひ、ご自身の肌で異国の空気を感じてみましょう。

<フランスの交通機関、主にフランス国鉄とその利点について>

フランス国内で、または国内から利用することができる交通機関は数多くあります。カテゴリーごとの主な乗り物が以下のものになります。

【フランス国内の移動】

フランス国鉄(SNCF)

長距離バス(SNCF・民間)

航空機

【フランスの街中の移動】

地下鉄(Métro:メトロ)

バス

トラムウェイ(路面電車)

タクシー

フェリーボート

自転車(街中に設置されている有料自転車)※街によって敷設・設置されていないものもあります。

【フランスから国外への移動】

長距離バス

航空機

ユーロ・スター(高速列車)

フェリー

かなり多くの手段がありますね。この他にも、観光客向けの街中を走る観光トロッコ電車のような乗り物もあります。ここでは、旅行の際に利用する機会が多い、フランス国鉄についてご紹介させていただきます。

フランス国鉄(SNCF)は、日本で新幹線に当たるTGV(テー・ジェー・ヴェー)とローカル線のTER(テー・ウー・エール)、長距離バス運行もしており、フランスの交通機関の要と言えます。

TGVと一部の長距離バスは、早期に予約するとチケットを安く購入できることがメリットとして上げられます。フランスでは安い時期だと30ユーロ(マルセイユ〜パリ間の例)程度で乗車できることもあります。

チケット料金は、出発直前や国民のイベント(クリスマスやイースター等)時には、100ユーロ以上になってしまうこともあります。早めに準備を進めることができるのであれば、この割引は大きな利点となります。

また、最近登場したTGVの一種が「Ouigo(ウィーゴ)」と呼ばれる乗り物です。格安航空ならぬ「格安新幹線」で、早期予約すると片道20ユーロ程度で乗車できることもあるのです。

ただし、車内の持ち込み荷物に制限があり、大きさや個数が指定されています。規定以上の荷物を持ち込む際には、追加料金を支払う必要があり、出発30分前には乗車場所でチェックインするなどの条件が設定されています。しかし、チケットを安く購入できますので、TGVを予約する際は、Ouigoも検討することをおすすめします。

フランス国鉄は、キャンペーンを頻繁に行っていますので、キャンペーン情報なども含めてチケットを探すと、良い条件が見つかるかもしれませんね。

また、27歳以下の留学生であれば、若者限定の割引を受けられるカードを作ることをおすすめします。「Carte de réduction Jeune 18-27(18歳から27歳までの若者割引カード)」と言い、価格は年間50ユーロです。更新の場合は、10ユーロ引きとなります。一例としてTGVは常時30%割引、TERは25%割引になることもあります。

また、28歳以上の方が留学されるのであれば、「Carte de réduction Week-end(週末割引カード)」が有効でしょう。週末限定ではありますが、最大二人(搭乗者本人と同行者)まで、運賃料金を25%割引が受けられます。こちらの価格は年間75ユーロで、更新の場合は10ユーロ引きとなります。また、地域限定で使用できる割引カードもあります。例えば、「Carte Zoo(カルト・ズー)」。こちらは、南フランスのプロヴァンス=アルプ=コートダジュール地方のローカル線のみで使える割引カードです。26歳以下(の学生)であれば、年間15ユーロで50%の割引が常時受けられます。年齢制限のない「Carte Zoo」もあり、こちらは年間30ユーロで同様の割引が受けられます。

ご紹介してきたように、フランスでは公共交通機関に関する様々な割引が作られており、積極的に利用されています。割引があるのはフランス国鉄だけではありませんので、滞在する街に到着したら情報収集をし、必要があれば早めに登録しておくと便利です。

※情報は2017年7月現在のもの。

<フランスの交通機関とその注意点>

先ほどご紹介した、フランス国鉄のメリットは大きいですよね。しかし、ストライキなどの問題も、時折起こります。

ご存知の方も多いかと思いますが、フランスではストライキやデモがさまざまな分野で頻繁に行われます。特に、交通機関のストライキは人々の生活にとって大打撃ですよね。バス、地下鉄などで時々起こりますので、フランス国鉄も例外ではありません。

現地に住んでいると「またか…」と思ってしまいますが、なかなか予測できないため、厄介です。通学の際に公共交通機関を利用する方や旅行前には、注意して現地のニュースに耳を傾けるようにしましょう。

他にも、発着時刻については注意が必要です。日本にいると、定刻どおりに運行するのが当たり前になっていますが、これ程時間に正確な国は日本だけです。フランス国鉄に関して言うと、「機械トラブル」や「信号トラブル」での遅れは頻繁に発生します。また、日本の公共交通機関のように、ダイヤの調整も基本的にはありませんので、一旦遅れるとその日は遅れたままの運行となります。鉄道の運行時間は前後することが多いため、早めに予定を設定して行動することをおすすめいたします。

フランス国鉄を中心とした公共交通機関について見てまいりました。注意点もありますが、留学中に有意義な経験を積めるよう、参考にしていただけると幸いです。

http://www.sncf.com(フランス国鉄ホームページ)

http://www.ouigo.com(Ouigoホームページ)