フランス留学中の日常生活トラブルと対処例

前回の記事では、フランスへの渡航時や学校生活でのトラブルと対処法をご紹介いたしました。今回は、留学中の日常生活で起こりうるトラブルと、その対処法をご紹介いたします。

■もくじ(ページ内リンク)

<パスポートの紛失>

<滞在許可証の紛失>

<その他貴重品の紛失>

<寮・アパート・ホームステイ先の部屋の設備トラブル>

<ホームステイ生活のトラブル>

<犯罪に対して>

<パスポートの紛失>

フランスでは、原則、身分証明書の携行が義務付けられています。外国人の場合はパスポートが身分証明書となりますね。フランスは日本に比べて盗難が多いため、常に持ち歩いていると盗難や紛失に遭うリスクがあります。

対処法

パスポートを携帯する場合は、外から見えないようにすることや、貴重品を分散して持つことが大切です。また、ファスナーや留め具をしっかり閉め、周囲への警戒を怠らないようにしましょう。原本は安全な場所に保管しておき、コピーを持ち歩くという方も多くいらっしゃいます。

万一、パスポートがなくなってしまったら、最寄りの警察署に届け出た上で、「盗難・紛失届証明書(Déclaration de vol)」を発行してもらいます。

盗難・紛失届証明書とその他必要書類を、在フランス日本大使館または、各地域の総領事館へ持参します。紛失旅券の失効手続き後に、パスポート再発行の手続きを取ります。また、帰国することが決まっている場合には、パスポートの代用となる「帰国のための渡航書」を発行してもらえます。

必要書類は以下の通りです。①から⑥は両書類に共通のもの。⑦は「帰国のための渡航書」発行に必要なものです。申請から発行まで2日から1週間ほどかかります。

必要書類

①一般旅券発給申請書(大使館・領事館で記入)

②紛失一般旅券等届出書(大使館・領事館で記入)

③6ヶ月以内に発行の戸籍謄本(抄本)

※持ち合わせていない場合には、大使館・領事館に相談すること

④写真2枚(カラー・白黒どちらでも可)※縦4.5cm×横3.5cm、6ヶ月以内に撮影したもの

⑤警察発行の盗難・紛失届証明書

⑥手数料

※パスポート(10年/5年):131ユーロ/90ユーロ、渡航書:20ユーロ

⑦帰りの航空券(もしくは航空会社よりの搭乗予約確認書)

※紛失したパスポートの番号、発給年月日が判明している場合は、その旨を届出時に知らせること

※在フランス日本国大使館ホームページを参照 http://www.fr.emb-japan.go.jp/jp/ryouji/passport/

※遠隔地に住んでいる場合には、最寄りの大使館・領事館に一度連絡してください

大使館・領事館情報

■在フランス日本国大使館

7 Avenue Hoche,75008, Paris, France

電話:01 48 88 62 00

http://www.fr.emb-japan.go.jp/jp/ryouji/passport/

■在ストラスブール総領事館

20 Place desHalles, “Bureaux Europe”, 67000 Strasbourg, France

電話:03 88 52 85 00

http://www.strasbourg.fr.emb-japan.go.jp/

■在マルセイユ総領事館

70 Avenue deHambourg, 13008 Marseille, France

(B. P. 199,13268 Marseille Cedex 08, France)

電話:04 91 16 81 81

http://www.marseille.fr.emb-japan.go.jp/

■在リヨン領事事務所

131 boulevard deStalingrad 69100 Villeurbanne, France

電話:04 37 47 55 00

http://www.lyon.fr.emb-japan.go.jp/jp/

※外務省在外公館リストを参照 http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/zaigai/list/europe/france.html

<滞在許可証の紛失>

フランスでの滞在でパスポートと並んで必要なものが「滞在許可証」。こちらの盗難・紛失も起こらないように気を付けなくてはいけませんが、万一紛失してしまった場合には、所定の手続きを取らなくてはなりません。

対処法

お財布など、他の貴重品を含めてですが、なるべくチャックの付いた鞄に入れる。または上着の内ポケットに入れるなど、必ず目の届く範囲で肌身離さず持ち歩くようにしましょう。お財布に入れておく場合でも、人目に触れるような場所に入れて歩くようなことは避けてください。部屋に置いておくのであれば、見つからないような場所へ保管し、きちんと施錠するようにしましょう。

また、前述している通り、貴重品はなるべく分散して持つようにしましょう。一つにまとめていると、盗られたときの被害が大きくなってしまいます。

万一、紛失してしまったときには、最寄りの警察署で「盗難・紛失届証明書」をもらってください。その上で、居住地管轄の「Préfecture de police」へ向かい、必要書類と共に再発行の手続きを取ります。必要書類及び手続きの手順については、Préfecture de policeで確認しながら進めていくことをおすすめします。

フランスでは、担当者によって手続きの指示が異なることがよくあります。

以下に考えられる必要書類を載せておきますので、参考までにご覧ください。正式な許可証が発行されるまでに、数ヶ月かかることが考えられます。

必要書類例

①盗難・紛失届証明書

②パスポート(ビザ)

③申請書(Préfecture de policeで記入)

④居住証明書(電気料金の明細等)

⑤証明写真 など

<その他貴重品の紛失>

その他貴重品にも当然、盗難や紛失の可能性はあります。盗難に遭わないこと、紛失しないように気を付けることが最も大切です。フランスはスリや盗難が非常に多いため、ご自身が犯罪の被害に遭わないよう、警戒しましょう。

対処法

  • 日本のクレジットカードを紛失した場合

速やかに加入しているカード会社へ連絡し、カード機能をストップさせましょう。その後の再発行手続きなどは、各社の指示に従ってください。

  • フランスの銀行カードを紛失した場合

こちらも同じく、ただちに銀行へ連絡し、カード機能を止めてください。

その上で、最寄りの警察で届け出をし、「盗難・紛失届証明書」をもらいましょう。証明書とその他書類をご自身の銀行に持参し、カードの再発行をします。必要書類に関しては各銀行にお問い合わせください。

  • 寮やアパート、ホームステイ先の鍵を紛失した場合

各建造物の大家さんに連絡をし、指示を仰ぎましょう。警察に届け出をすることも忘れずに行ってください。事前に大家さんの許可を得て、鍵の複製を作っておくと、万一の時には安心です。

  • お財布やパソコンなどその他の紛失した場合

最寄りの警察へ速やかに届け出てください。盗難・紛失届証明書を取得していれば、拾得物として発見される可能性も出てきます。その上で、定期的に警察の拾得物担当課に問い合わせてみるのも良いでしょう。

<寮・アパート・ホームステイ先の部屋の設備トラブル>

フランスの部屋では、水回りや電気系統のトラブル、備品の不調、部屋の壁の崩落(フランスは古い建物が多い)などの話を聞きます。

対処法

自分で直すか、業者を呼ぶか迷うところですね。しかし、寮・アパートの大きな設備・備品のトラブルに関しては、大家さんに連絡をし、必要があれば大家さんサイドから業者へ連絡を取ってもらうようにしましょう。中には、大家さん自ら直しに来てくれる人もいます。

フランスの業者は呼んでもなかなか来てくれないことが多いですが、何も言わずに自ら直してしまうと、退去の際に問題が起きる可能性が出てきます。

電球の交換程度であれば問題ないでしょうが、些細なトラブルでも、なるべく連絡を取った方が安心です。また、トラブルが起きた際には、その時点での写真を取っておきましょう。後で説明するときに役立ちます。

ホームステイ先では、問題があれば必ずホストファミリーに伝えましょう。ご自身で勝手に直す、または新たな備品に取り換えるといった行動は、トラブルの元になるため、許可なく行わないようにしてください。

<ホームステイ生活のトラブル>

ホームステイでは、ホストファミリーと生活を共にすることになりますが、その生活スタイルが留学生に合うかどうかは、生活を始めてみないとわかりません。

留学生は事前に要望を出し、ホストファミリーからも規則の説明を受けると思います。しかし、いざ生活が始まってみると、想像と違うことがあるかもしれません。

例えば食事ですが、偏った食事が多く、なかなか食事に馴染めないといったことが考えられます。他には、干渉が多く、勉強に集中できない。日本語のできるファミリーとの生活だと、思った以上にフランス語を実践する機会が得られない、などの事例も挙げられます。

対処法

実際に生活が始まってみないと、見えてこない部分は多々あると思います。何か気になることがあれば、ホストファミリーに意思を伝えるようにしましょう。特に最初の方は、ホストファミリーも手探りです。生活を共にする留学生の性格もすぐにはつかめません。このような時に、積極的にお互いがコミュニケーションを取ることで、相互理解が深められます。

どうしても、ホストファミリーと合わないようであれば、失礼のないように他の居住手段を探すことも必要となるでしょう。

<犯罪に対して>

フランスの治安は、日本と比べて少し神経質にならざるを得ないのが現状です。

実際に、街中でパソコンや携帯を使用していた際のひったくりや、寮やアパートにおける留学生へ対する暴行・傷害事件などが起こっています。

また、昨今ではフランスでもテロ事件が起こるようになってきました。こうした犯罪に対しても、自分のできる範囲でしっかりと注意をしていきたいものですね。

対処法

さまざまな種類の犯罪があるので、ここではいくつかの対策方法をご紹介します。

第一に、人混みを避ける、人が多いところでは、不用意に貴重品を取り出して使わない。

主にスリなどの窃盗に対しての対処法ですが、人の集まるところはテロの標的になりやすいですよね。人ごみに紛れ、機会をうかがっている可能性があります。常に鞄が視界に入るよう前方に持ち、体から離さないようにしましょう。

また、高価なスマートフォンはよく狙われます。使い終わったら外から見えないところに保管しましょう。

一方、ひったくりの被害は人気がないところでも被害が発生しているため、注意が必要です。人気のない場所へ行く際には、複数人で行動することをおすすめします。

ただし、街中でも治安が良くないといわれる場所には、複数人でも近づかないようにしましょう。

なお、室内にいるときは油断しがちですが、部屋にいる時も、必ずしっかり施錠をしてください。見知らぬ来客がある時は、よく確認してから開錠するようにしましょう。