カンボジアの生活情報や医療事情

カンボジアの基礎知識

名称 カンボジア王国 日本国(ご参考)
面積 18.1㎢ 37万8,000㎢
人口 1,610万人 1億2,659万人
首都 プノンペン 東京(人口1,383.2万人)
通貨
(2018年11月)
リエル
(1リエル=0.028円)

(1米ドル=113.84円)
時差 -2時間
言語 カンボジア語 アルタイ語系の日本語
民族 カンボジア人(クメール人)が90% アジア人種の日本民族・朝鮮人・中国人・北海道に少数のアイヌ人
宗教 仏教(一部少数民族はイスラム教) 仏教・神道・キリスト教
気候 気候は大きく雨季(6~11月)と乾季(12~5月)に分かれ、気温は年間を通じて高い熱帯性気候。雨季は1日に数時間雨が激しく降り、町のあちこちに水たまりができる。乾季の12月から3月中旬は湿度が低く比較的過ごしやすくなるが、3月後半から5月にかけては非常に暑さが厳しくなる。 南部は温帯気候、北部は冷帯気候。モンスーンの影響が強く、6~8月は南東モンスーンにより多量の雨がもたらされる。11~3月は大陸からの北西モンスーンにより、北部は厳しい寒さとなり、日本海に面した地域には多量の雪が降る。
代表的な
都市の気温
プノンペン:
22℃/32℃(1月)
25℃/33℃(7月)
(最低気温/最高気温)
東京:
0℃/9℃(1月)
22℃/29℃(7月)
(最低気温/最高気温)
電化製品
電圧:
220V
プラグタイプ:
AとCの複合型が多い
電圧:
100V
プラグタイプ:
A
在留邦人数 3,518名(2017年10月現在)

出国・入国するときの注意事項

下記は2018年11月現在の情報です。最新情報については、外務省・在日カンボジア大使館等のウェブサイトを参照してください。

査証(ビザ)

カンボジアに入国するためには査証が必要です。日本または外国にあるカンボジア大使館等で査証を取得してください。なお、プノンペン国際空港、シェムリアップ国際空港、ポイペト国境施設(タイとの国境)、バベット国境施設(ベトナムとの国境)等でも入国時に査証を取得できますが、6か月以上有効な旅券を所持していることが必要です。また、この際に取得できるのは一次有効のT査証(観光査証)またはE査証(一般査証)のいずれかです。

滞在期間を超えて滞在した場合、1日につき10米ドルの罰金が科され、これを支払わない限り出国が認められません。なお、入国後に査証の更新をする場合には、プノンペンのカンボジア入国管理総局(ポチェントン空港前)で手続きが必要となります。

査証の種類

T査証(観光査証)
30日の滞在が認められ、30日の延長が1回限り認められます。
就労は認められません。
E査証(一般査証)
30日の滞在が認められ、最長で1年の延長が認められます。
数次査証
一般旅券を所持している日本国籍の方は、1回につき滞在30日まで、有効期限は最長3年までの数次査証が申請できるようになりました。

出入国審査

入国審査

顔写真の撮影がありますので予め承知しておいてください。また、指紋登録も行われます。

ポイペト経由にてタイに入国する際の注意事項

最近、カンボジアからタイに陸路で入国する際の条件が強化されています。例えば、タイから陸路でカンボジアに入国し、その日の内にタイに再入国しようとしたが認められなかったケースも報告されていますので、事前にタイ当局によく確認することが必要です。

出国査証の取得

滞在期間中、旅券(パスポート)の更新、または紛失、盗難等により、新たにパスポートの発給を受けたり、「帰国のための渡航書」の発給を受けて帰国したりする場合は、出国査証(Exit Visa)の取得が義務付けられています。なお、出国査証は、プノンペン空港前にある内務省入国管理総局(Immigration Department)でしか発給されず、また、取得までに3日程度(土日祝日を除く)を要します。

外貨申告

1万米ドル相当額以上を持ち込む場合には申告する必要があります。

通関

カンボジアへの持ち込みが禁止されている物品は、武器・弾薬等、麻薬類、無線機、化学薬品(爆発物製造に関係する物)等がありますが、パソコンやオーディオ製品等を大量に持ち込もうとした場合には、営利目的とみなされ、没収されたり、課税されたりする(最大200%)ことがあります。
また、ポルノ雑誌・ビデオ・DVD等の持ち込みも禁止されており、所持していた場合は入国時に没収されるほか、警察の事情聴取を受けることがあります。また、営利目的と判断された場合には拘束される可能性もあります。

現地に到着したら

在留届

旅券法第16条により、外国に住所または居所を定めて3か月以上滞在する日本人は、住所または居所を管轄する日本の大使館または総領事館(在外公館)に「在留届」を提出するよう義務付けられています。住所等が決まりましたら、必要事項を記入の上、速やかに最寄りの在外公館へ提出してください(世帯ごとに届出をすることもできます)。
提出はFAXまたは郵送、インターネットで可能です。提出にあたっては、「在留届」用紙の注意事項をよく読んで提出してください。

  • 住所その他届出事項の変更およびカンボジアを去る(一時的な旅行を除く)ときはその旨の届出(変更および帰国届)を行ってください。

在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者(海外旅行者・出張者など)についても、現地での滞在予定を登録できるシステムとして、2014年7月より外務省海外旅行登録「たびレジ」の運用を開始しています。登録者は、滞在先の最新の海外安全情報や緊急事態発生時の連絡メール、また、いざというときの緊急連絡などの受け取りが可能です。

外国人登録

カンボジア移民法では、すべての外国人は、カンボジア到着後48時間以内に滞在地の市役所または警察署に出向いて住民登録を行わなければならないと定められています。しかし実際のところは、外国人が宿泊するホテルやゲストハウスの所有者または外国人に住居を貸している家主が管轄の警察署に提出しています。まれに、家主等がこれらの手続きを行っていないために、外国人本人が警察署等から指摘を受けることもありますので、その場合は、家主等を通じて氏名およびパスポート番号を通知するようにしてください。

注意が必要な生活環境

各種取締法規

旅行制限

外国人に対する旅行制限は特にありません。

写真撮影

軍事施設、治安関係施設、空港およびその周辺は撮影禁止となっています。

麻薬

あらゆる麻薬等違法薬物の所持、使用、取引は禁止されており、警察の内偵捜査が行われています。違反した場合は、終身刑に処されることもあります。

売買春

カンボジア当局は児童売春や人身売買に対する取締りを強化しています。また、18歳未満の者に対するわいせつ行為またはわいせつ写真を撮影した場合は刑罰が科せられます。過去には日本人旅行者がわいせつ写真を撮影したため逮捕拘束され、有罪判決を受けた事例もあります。

代理出産

2016年10月、いわゆる代理母による子の出産(代理出産)を禁止する保健省令が制定されました。すでに、仲介業者や医療関係者が告発された事例があります。

風俗・習慣・国民性

カンボジア人の大多数は敬虔な仏教徒(上座部仏教)ですので、僧侶や仏教寺院に対して敬意を払う必要があります。また王室に対する尊敬の念は篤く、国王を始めとする王族に対する言動にも注意が必要です。カンボジア人は温厚で、怒りの感情をあまり表しませんが、人前で非難されたり、侮辱されたりすると激しく反発し、極端な例では、怨恨による殺人事件にまで発展することがあります。2005年6月にシェムリアップにあるインターナショナルスクールに武装集団が入って占拠し、幼児1人が犠牲になった事件が発生しましたが、この事件も、被雇用者が、雇用主に顔面を殴打された恨みから、同雇用主の子どもを身代金目的で誘拐しようとしたものとされています。

一般的に、ベトナムとタイに嫌悪感を抱くカンボジア人が少なくありません。2003年1月には、アンコールワット遺跡に関わるタイ人女優の発言が、カンボジアにある大使館をはじめとしたタイ関連施設への襲撃・暴動事件に発展した例もあります。また、ベトナムで購入したアオザイ、菅笠(ノンラー)等を身に着けて外出すると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があるので注意が必要です。

健康・医療

カンボジア(シェムリアップ:アンコールワット) 医療事情
(ジェイアイ傷害火災調べ 2016年8月時点)

項目 内容 日本(ご参考)
救急車の料金
①公営:
通常利用しない
②民営:
7,200円
無料
通常利用しない
初診料 8,200円 2,820円
病院部屋代
(1日当たり)
①個室:
10,200円
②ICU:
15,400円
30,000円~100,000円
80,000円~100,000円
虫垂炎手術の治療費
①総費用:
707,000円~768,500円
②平均入院日数:
3日
600,000円
4日間
骨折時の治療費
(橈骨末端閉鎖性骨折)
56,400円~61,500円 20,000円
ファミリードクター制度 なし なし
  • 初診から専門医の受診が可能(ただし、総合病院等で紹介状が必要な場合あり)
乳児死亡率
(1,000人当たり)
33人 2人
平均寿命 73歳 84歳
協力:Royal Angkor International Hospital 聖路加国際病院
注意事項
  • 全体
    • 海外では自由診療となるため、治療費は受診する医療機関や治療内容等によって大きく異なります。一覧は目安として下さい。
    • 日本人旅行者が利用することが多い私立の医療機関を中心に調査しているため、その国一般の相場と異なる場合があります。
  • 項目別
    • 1.
      公営の救急車は原則行き先を指定できません。距離加算の記載がない場合は、原則同一市内の料金となります。
    • 2.
      初診時の最短時間(通常10~20分程度)の診察料となります。別途医療通訳費が必要な場合があります。
    • 3.
      部屋の使用料のみとなり、実際に入院する際には、その他に医師の診察料、薬剤費等が必要となります。
    • 4.
      腹膜炎を併発していない手術を想定しており、術式等は医療機関により異なります。
    • 5.
      転倒し、手をついた際に骨折しやすい箇所となります。レントゲン検査、固定処置を行い1回のみの外来診療を想定しています。
      (帰国後に継続治療を行うことを想定していますが、その治療費は含んでおりません)
    • 6.
      当該国の一般的な医療制度を記載しており、医療機関や緊急度合い等により記載と異なる場合があります。
    • 7.
      出典:世界子供白書2015<要約版>-日本ユニセフ協会
    • 8.
      出典:総務省統計局発行、総務省統計研修所編集「世界の統計2016」
  • 日本の医療事情
    • 詳細金額は医療機関の設備や治療内容等により異なりますが、概ねの理解をいただく目的で、一般的な料金を記載しています。
    • 治療費は、海外と比較する目的で健康保険利用の基準である1点10円かつ全額(10割)自己負担として算出しています。健康保険を利用し受診した場合の自己負担額は通常記載よりも低額となります。また、日本で健康保険を利用しない自由診療の場合は、医療機関により点数換算が異なります。

医療事情

特定のプライベートクリニックおよび病院で日本と同等の診療が可能です。病院(入院)の場合は、一部私立病院を除き劣悪な環境ですので、バンコクまたはシンガポールに搬送されることになります。2016年10月にサンライズ日本病院が開設され、一部の疾患に関してはカンボジアで治療可能となりました。
また、カンボジアのクリニックを通してバンコク等へ緊急移送される場合は必ず支払保証の確認(専用飛行機での輸送費約3~4万米ドル)が行われますので、十分な額の海外旅行傷害保険に加入する必要があります。
プノンペンやシェムリアップ以外の地域では外国人向けのクリニックはありません。医師を含め英語での意思疎通は困難です。むしろフランス語を解する医療関係者のほうが多くみられます。

注意を要する病気

急性胃腸炎

細菌・ウイルスによるものが多く、腹痛・下痢(時により発熱や嘔吐)といった症状が起こります。原因となる細菌・ウイルスによっても飲食後発生する時間や症状が異なります。脱水にならないようにココナッツジュース・スポーツドリンク・お茶などで水分補給をすることにより、数日で回復することが多いのですが、血便や下痢が続く場合や幼児や体力のない人は治療・検査が必要ですので、早めに医療機関を受診してください。

デング熱

蚊(ネッタイシマカ、日中に活動する)に媒介されるウイルス性感染症です。都市部でも多く発生しており、蚊が発生しやすい雨季には患者が増加します。通常、蚊に刺されて5日前後で高熱・頭痛(眼の奥が痛むことがある)・関節痛・筋肉痛・食欲の減退といった症状が突発します。特別な治療薬・ワクチンがないため、網戸、長袖、長ズボン、虫除けスプレー、蚊取り線香などを使い、蚊にさされないように防御する事が一番重要です。
治療法としては安静と解熱といった対症療法になります。時に、デング出血熱に移行し死亡する人もいます。発熱3日目に血液検査を受けて、診断の確定と出血傾向の有無を確認して、結果によっては輸血が必要となります。

寄生虫

アメーバ赤痢、ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)等が存在します。これら寄生虫が混入している水・飲食物を飲食することで感染します。発熱は少なく、血便・下痢・腹痛、腹部の不快感が主な症状ですが、下痢・軟便だけが続く場合もあります。これらの症状が続く場合は便の検査で寄生虫の有無・種類を確認し、抗寄生虫薬(メトロニダゾールなど)の内服が必要です。もちろんそれ以外の寄生虫も存在していますので、水・氷や生野菜には十分注意してください。

マラリア

マラリア原虫を持つ蚊(ハマダラカ)に刺されることで感染します。主として森林地帯、タイ、ベトナムとの国境周辺部で発生しており、プノンペン・シェムリアップ市内で感染することはほとんどありません。多少の増減はありますが1年を通じ発生しています。

カンボジアでみられるマラリアの約90%が熱帯熱マラリアで、残り10%が三日熱マラリアです。熱帯熱マラリアは治療が遅れると命にかかわる怖い病気です。潜伏期間(感染しているが症状がまだ出ていない期間)が約1~2週間(ほとんどが1か月以内に症状が出ます)あり、突然の高熱がおこり、熱の上がり下がりは不規則です。三日熱マラリアは、ほぼ48時間ごとに高熱→発汗多量→解熱といった規則性があります。

治療には、抗マラリア薬が有効です。また、放置しておくと命の危険性がありますので、疑われる場合は必ず医療機関を受診してください。

HIV/AIDS

エイズ患者が多く認められます。HIV感染者が風俗業に従事している場合があります。自覚を持って行動してください。接触後に不明な持続する熱・リンパ節の腫れなどの症状が出た場合は、速やかに専門医を受診してください。

腸チフス

チフス菌がついた飲食物から感染する細菌性感染症です。主症状は発熱で、消化器症状がない場合もあります。抗生剤が有効ですが、可能であれば予防接種を受けてください。

A型・B型肝炎

A型肝炎は食べ物から、B型肝炎は血液・体液から感染します。いずれも倦怠感・発熱・黄疸(目の白い部分が黄色くなります)といった症状が出ます。安静、対処療法と抗ウイルス薬による治療と、治療方法の選択肢はありますが、予防接種が一番の対策法です。

破傷風・狂犬病などの感染症

地方都市に滞在する場合は、あらかじめ予防接種を受けてください。ただし、狂犬病は予防接種をしていても追加接種が必要になりますので、犬・猫・その他の動物にかまれた場合には、必ず医療機関を受診してください。

鳥インフルエンザ(H5N1)

2003年以降カンボジアでのH5N1鳥インフルエンザ症例は56例。うち死亡例が37例で致死率66%です。
全例において感染鳥との濃厚接触歴があり、現在まで集団感染の様相はなく、また抽出されたウイルスからは、ヒト-ヒト感染の可能性を示唆する結果は出ていません。しかしカンボジア国内の家禽類にはH5N1が常在しており、これが変異してヒト-ヒト感染が突然起こる可能性は十分あります。
発症予防としては、手洗いうがいの励行は言うまでもなく、鳥との接触を避け、むやみに触らない、生きた鳥が売られている市場や養鶏場にむやみに近寄らないよう心掛けてください。

予防接種

入国に際して必要とされる予防接種はありませんが、推奨される予防接種は次のとおりです。なお、日本脳炎ワクチンは外国では高額です。その他のワクチンは現地の方が概ね安いといわれています。

推奨の度合い
  • 予防接種推奨
    強く
  • 可能であれば
    できれば
  • 危険地帯・過疎地へ行く場合
    感染危険地帯・医療過疎地旅行時
成人
  • 予防接種推奨
    破傷風、A型肝炎、B型肝炎
  • 可能であれば
    日本脳炎、腸チフス、MMR[麻疹、流行性耳下腺炎、風疹の3種混合](30歳前後で免疫の低下した人が多い)
  • 危険地帯・過疎地へ行く場合
    狂犬病
小児
日本の定期接種
  • 予防接種推奨
    DPT[ジフテリア・百日咳・破傷風]、ポリオ、麻疹[はしか]、風疹、日本脳炎、BCG
  • 可能であれば
    日本脳炎、腸チフス
  • 危険地帯・過疎地へ行く場合
    狂犬病
日本の任意接種
  • 予防接種推奨
    A型肝炎、B型肝炎、水痘
  • 可能であれば
    Hib、流行性耳下腺炎、季節性インフルエンザ、腸チフス
  • 危険地帯・過疎地へ行く場合
    狂犬病、肺炎球菌
  • (注)
    日本脳炎ワクチンは外国では高額です。その他のワクチンは現地の方が概ね安いです。

小児が現地校に入学・入園する際に必要とされる予防接種はありませんが、インターナショナルスクールでは、親が記載する予防接種記録の提出が必要です。未実施のものがあった場合には接種を勧められます。なお、日本で行われているような乳児検診のシステムはありません。

健康上、心掛けること

水・飲食について

水道水を含め生水は飲まない、氷は入れない、加熱した料理を食べる、といった基本的なことを守ってください。飲料水にはペットボトル入りのミネラルウォーターを利用してください。

プノンペン市内の上水道の浄化施設は日本の支援により改善されましたが、配管や施設の浄化槽の管理がいまだ十分とはいえません。外食する際は高級レストランや清潔そうな店を選び、到着後1か月以内は体が慣れるまで生ものを避け、必ず火を通したものを食べるようにしてください。

屋台での飲食は、食材・食器・調理後の管理・調理人の衛生意識等に問題があります。道路脇でバケツにためた水でお皿を洗っているのをよく見かけます。たとえ火を通した料理であっても注意してください。
また、氷は水道水で作られている場合もあるので、入れない方がよいでしょう。何にでも氷を入れる(ビールなど)傾向があり、事前にいらないと言う必要があります。魚介類は寄生虫感染の危険があり、生で食べるのは避けましょう。

表通り以外ではゴミが積まれているのを見かけます。ネズミ・ゴキブリ等の害虫も数多く発生しています。手洗いやうがいを日頃から習慣としておくことが大事です。

熱中症

気温が高く、日差しも強いため熱中症や脱水になりやすいため、十分な水分補給に努めてください。また発汗とともに電解質(塩分)も失われるため、梅干し・味噌汁・スポーツドリンクなどもとった方がよいでしょう。ココナッツジュースはスポーツドリンクと同じ効果があります。

蚊に刺されないように

デング熱・マラリアは蚊に刺されることで感染します。長そで長ズボンの着用や虫除けスプレーを使用するなどの注意が必要です。

無理のない計画を

短期旅行の場合は、特に休憩時間を入れ予定を詰め過ぎないことです。アンコールワットを観光する際、敷地が広大で、木陰も少ないので、熱中症・脱水になる人が多く出ています。特に高齢者の方は症状が出にくいため、日中は休む(昼寝)、休憩をとるなど注意してください。

必要な薬は持参

日本製の薬は、日系のクリニックで処方される医薬品のみで、手に入る物はかなり限定的です。薬局で薬の購入は可能ですが、保管状態が悪く偽薬が多いため、信用のある店を利用してください。慢性疾患や常用している薬のある人は十分な量の薬を日本から持って来てください。

海外旅行傷害保険の利用

設備の整った私立病院・クリニックでは支払い能力のない人は診察してくれません。治療費は高額(外来診察:約100ドル/回、入院:約1,000ドル/日)ですので、海外旅行傷害保険に加入しておく事を強く勧めます。

妊娠・出産について

世界銀行(2016年)によると新生児死亡率は15人(1,000妊娠あたり)、妊産婦死亡率は10万人あたり161人と日本と比較し20倍近くの高さです。また出産時の緊急対応も十分できない事から、日本で出産されることを勧めております。なお妊娠後期(臨月期)は搭乗に制限がありますので、国外での出産を考えている場合は、ご利用予定の航空会社に確認し、時間的に余裕のある移動予定を立てて行動してください。

帰国後の注意

帰国後に発熱・下痢等の症状があり医療機関を受診する際は、感染症専門の病院外来を受診し、必ずカンボジアへの渡航歴を伝えてください。マラリア・デング熱・アメーバ赤痢などの病気は日本で見かけることがほとんどありませんので、海外旅行に行っていたことを伝えることで早期診断・治療につながります。

海外⽣活不適応について

気候、⽣活習慣、⾷事、治安状況、⼈種、宗教、⾔葉の違いは、適応に相当な努⼒を要します。うまくいかないと不適応症候群となり、精神⾯のみならず胃腸系や循環器系に変調をきたします。きまじめなタイプや完全主義者に陥りやすい傾向があります。適応には時間がかかること、誰でも⼀度は通る道であることを認識してあせらないことが肝⼼です。疲れたときは無理せず、⼗分な休養、時には⻑期休暇が必要です。
特に家族で赴任されている⽅はご家族のメンタルヘルスにも気を配ってあげて、できるだけ不満や愚痴を聞いてあげるようにしてください。

交通事情

一般的な交通事情

カンボジア国内の交通手段としては、飛行機、バス、フェリーボートがありますが、外国人観光客がよく利用するのは、首都プノンペン~シェムリアップ、シハヌークビル等の一部都市を結ぶ路線等に限られ、ほかの地域への移動手段はまだ発達していません。他地域の都市部と地方を結ぶ交通手段の多くは、中古のマイクロバスやワゴン車であり、しかも整備不良車が少なくありませんので、やむを得ず利用する際には、十分に時間的余裕を持った移動計画を立てるようお勧めします。

プノンペン~シェムリアップを結ぶボートが定期運行されていますが、安全確保のため、乗船する前には、救命胴衣等の装備が完備されているか否かを確認してください。

2013年にはプノンペン都内で在留邦人がオートバイを運転中に交通事故に遭い死亡しました。また、2014年には旅行者が車をチャーターし、後部座席に乗って地方の州を旅行中、突然動物が道路を横切ったため、急ハンドルを切ったことにより車が横転し、骨折して近くの病院に運ばれましたが、対応が難しくバンコクへ搬送されました。このように日本人も重大な交通事故の被害に遭う例もありますので注意が必要です。
また、最近、電話やアプリを使ってタクシー(トゥクトゥクを含む)を呼べるシステムが普及してきました。また、公共のバスなども運行され、都内を移動できるようになりました。その他の州では、公共バスなどの交通機関がないため、モトドップやトゥクトゥク等が主な移動手段となります。

交通事故について

カンボジアでは、交通ルールの遵守意識が低いことや、車両の増加により、交通事故が多発しています。2013年にはプノンペン都内で在留邦人がオートバイを運転中に交通事故に遭い死亡しました。また、2014年には旅行者が車をチャーターし、後部座席に乗って地方の州を旅行中、突然動物が道路を横切ったため、急ハンドルを切ったことにより車が横転し、骨折して近くの病院に運ばれましたが、対応が難しくバンコクへ搬送されました。このように日本人も重大な交通事故の被害に遭う例もありますので注意が必要です。

車を運転する場合の注意事項

反対車線の走行、車線のはみ出し、信号無視、脇見運転、バイクの3~4人乗りや蛇行運転等が多く見受けられますので、歩行中または車の運転中は細心の注意を払う必要があります。特にモトドップ乗車中の事故は、大けがにつながる恐れがあるため、乗車は避けるようにしてください。また、プノンペン都内では、追突事故や接触事故が至る所で発生していますので、自身による運転はなるべく避け、現地の運転手を雇うことをお勧めします。どうしても自身で車、オートバイを運転する必要がある場合には、事故後のトラブルを避けるためにも、必ず自動車保険に加入するようにしてください。

主要な国道などの幹線道路でも壊れていたり、舗装されていないところがあり、特に雨期になると雨水がたまったり、大きな穴が開いたりするなど、路面状況が劣悪になるため、車が動かせない状態になることがあります。また、街灯のない道路やヘッドライトを点灯していない車両もあり、夜間の移動は特に慎重に行う必要があります。一方、昼間の視界がよい状況においてヘッドライトをつけて運転することは禁止されておりますので、地下駐車場から出た後など、そのまま運転してしまうことがないようご注意ください。

その他

銃器類の氾濫

カンボジア全土にけん銃、小銃、手りゅう弾等の武器が多く出回っており、武装強盗による凶悪犯罪が発生しています。強盗に襲われた場合、犯人がけん銃等を所持している可能性が高いので、無理な抵抗は避けてください。

地雷埋没地域

カンボジア北西部の広い地域にわたって、いまだに多くの地雷が残っていますので、幹線道路から外れた農地、森林等には決して立ち入らないでください。
毎年、バッタンバン州、バンテアイミアンチェイ州、オッドーミアンチェイ州において、地雷による死傷者が出ています。これらの州以外でも、農地や森林等に入ることは極めて危険です。

アンコール遺跡観光の際の注意

カンボジアには世界遺産に指定されているアンコール遺跡があり、年間を通して多くの観光旅行者が訪れます。遺跡の傷みがひどいものもあるので、周囲をよく注意して行動してください。遺跡観光中は、水分補給や休憩をとるなど熱中症対策に努めるとともに、疲労を感じたときには、決して無理をせず早めに休憩を取るようにしてください。足腰の疲労により急な斜面の階段の上り下りなどで不慮の事故を起こしかねません。雨期は滑りやすくなっているところがあるので、特に注意が必要です。

安全に暮らすために

治安情勢(外務省海外安全ホームページより)

下記は2018年11月現在の状況です。外務省海外安全ホームページ等を活用し、常に最新の状況を確認するようにしましょう。また、滞在中は常に治安情勢の変化に気を配り、新聞、テレビ、現地人等の情報にも注意してください。

最新情報

外務省より下記危険情報が発出されています。

危険情報
本情報は2018年11月30日現在有効です。
カンボジアの危険情報【危険レベル継続】(内容の更新)
(2018/10/15)
危険レベル
  • 全土
    レベル1:十分注意してください。(継続)
ポイント
  • プノンペン都内を中心に、強引なひったくり事案等が頻発し、重傷を負う場合もあるほか、凶器を使用した強盗事件に日本人旅行者が巻き込まれる事案も発生しています。外出する際には、極力バッグ等の荷物は持たない、タクシー等の自動車を利用する、周囲への警戒を怠らないなど、犯罪の標的とされないよう対策を講じてください。
  • 2017年9月に最大野党救国党の党首が逮捕され、11月に同党は解党されました。現時点で目立った衝突等は起きていませんが、2018年7月に実施された国政選挙結果等をめぐり、政治的緊張が高まる可能性も否定できないことから、常に最新の情報を入手するよう心がけてください。
1. 概況
  • (1)
    一般治安情勢等

    カンボジアでは、過去の長期にわたる内戦の結果、国内に銃器類が広く出回っており、これらを使用した強盗事件等が度々発生しています。また、特に都市部や観光地において、強盗、ひったくり、置き引き、スリ、いかさま賭博等の犯罪が多発しており、多くの日本人観光客や在留邦人が被害に遭っています。特に首都プノンペンでは、日本人旅行者が、凶器を使用した強盗事件の被害に遭っています。ほかにも、トゥクトゥク(三輪タクシー)やモトドップ(バイクタクシー)で移動中にひったくりに遭い、転落して重傷を負ったり、たすき掛けにしていたバッグを強引に掴まれ、引きずり回されて怪我をする事案などの強引な手口による被害が発生しています。

  • (2)
    カンボジア国内の政情

    2013年7月28日に実施された国民議会議員選挙の結果、与党人民党が勝利し、同年9月24日に新政権が発足しました。最大野党救国党は選挙に不正があったとして国会をボイコットし、大規模集会・デモを続けましたが、与野党の断続的な協議を経て、2014年7月22日に政治合意が結ばれ、同年8月8日に救国党が国会に初登院し、国会は正常化しました。

    2017年6月の地方選挙は、比較的平穏に実施されましたが、同年9月には救国党のケム・ソカー党首が逮捕され、同11月には同党の解党に至りました。その後、同党関係者は、2018年7月の国政選挙に向け、選挙ボイコットを国民に呼びかけてきました。この国政選挙結果等をめぐり、政治的緊張が高まり混乱が発生する可能性も否定できないことも踏まえ、常に最新の情報を入手するよう心がけてください。

  • (3)
    テロ情勢

    過去には、2008年のカンボジア・ベトナム友好記念碑における爆弾事件(負傷者なし)、2009年の国防省およびTV3(民放テレビ局)付近への爆発物設置事件等のテロ関連の事件が発生しています。現在のところ、大規模テロにつながるような情勢の変化は認められませんが、2015年8月に発生したタイ・バンコクにおける爆発事件の関係者とされる男が、タイとの国境付近で逮捕される事案も発生しているほか、反政府勢力が、2018年4月のクメール正月期間中にプノンペン都内等で爆弾テロを計画していたとの報道もあったことから、引き続き注意が必要です。

    これまでに、カンボジアにおいてテロによる日本人の被害は確認されていませんが、近年、シリア、チュニジア、バングラデシュにおいて日本人が殺害されるテロ事件が発生しています。また、テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、特に、近年では単独犯によるテロや、一般市民が多く集まる公共交通機関等(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発していることから、こうしたテロの発生を予測したり未然に防ぐことが益々困難となっています。

    このようにテロはどこでも起こり得ることおよび日本人が標的となり得ることを十分に認識し、テロの被害に遭わないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

  • (4)
    領土問題

    カンボジアとタイの国境付近に位置し、2008年7月にユネスコ世界遺産に登録されたカンボジアの「プレアビヒア寺院」(タイ側呼称:カオ・プラ・ウィハーン遺跡)周辺地域では、カンボジアとタイ両国が主張する国境線の違いを巡って、2008年10月以降、両国軍の間で発砲を伴う衝突がたびたび発生しましたが、その後、両国は軍の撤退に合意し、寺院付近の緊張状態は緩和されました。

    国際司法裁判所(ICJ)は2013年11月、同遺跡はカンボジアに帰属するとした1962年の判決に関して、遺跡が建つ断崖一帯がカンボジア領であることを認めたものであるとの解釈を示し、タイ側はその領土に駐留させていた軍や警察部隊、その他の警備要員や守衛を撤退させる義務があると宣言しました。その後、両国政府はICJの判決を友好的に履行していく姿勢を示すとともに、2014年5月のタイにおける軍事政権の成立後も、下記(2地域別情勢(3))のような両国間の様々な外交努力等により、現在、プレアビヒア寺院周辺地域は、概ね平穏な状況にあります。

    但し、プレアビヒア寺院の周辺地域におけるカンボジア・タイ間の国境線が確定されていない状況は続いており、今後の両国の政治情勢の変化に引き続き十分な注意が必要です。

2. 地域別情勢
全土
レベル1:十分注意してください。(継続)

  • (1)
    カンボジア全般

    過去の長期にわたる内戦の結果、国内には銃器類が広く出回っており、これらの銃器等を使用した強盗事件等が度々発生しています。
    また、都市部や観光地を中心に、ひったくりやスリ、置き引き等の一般犯罪が多発しています。特にひったくり事件は、日本とは全く態様が異なり、時間帯(朝、昼、夜)・場所(大通り、裏通り、通行量)を問わず発生しているほか、バッグをたすき掛けにする、車道とは反対側に持つなどの対策を取っていたにもかかわらず、強引に奪い取られ、怪我を負う被害が発生しています。

    ついては、カンボジアに渡航、滞在を予定されている方は、単独行動や夜間の外出は避け、バッグなどの荷物は極力持たない、タクシー等の自動車を利用する、周囲への警戒を怠らないなど、不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。また、カンボジアの経済発展に伴い、ビジネスに絡む詐欺事件等も報告されるようになっていますので、注意が必要です。

  • (2)
    首都プノンペン

    プノンペンでは最近、白昼に徒歩で観光中、裏路地に連れ込まれナイフで切りつけられた上で金品を強奪される事件、深夜にバイクタクシーで移動中、後方から追ってきたバイクに蹴り倒され拳銃を突きつけられた上で金品を強奪される強盗事件等が発生しているので、一層の注意が必要です。また、主に単独で観光をしている日本人旅行者を狙った、いかさま賭博詐欺被害が度々発生していますので、単独で観光する際は特にご注意ください。

  • (3)
    「プレアビヒア寺院」の周辺地域

    プレアビヒア州のタイとの国境付近に位置し、2008年7月にユネスコ世界遺産に登録された「プレアビヒア寺院」の周辺地域で、両国の主張する国境線の違いを巡り、これまで、カンボジアとタイとの間に緊張状態が生じていましたが、現在は、2014年10月に開催されたカンボジア・タイの首脳会談において、フン・セン首相から、国境線を含む全ての問題を友好的な交渉によって解決するとの方針が示されるなど、両国間の様々な外交努力等により、プレアビヒア寺院周辺地域は概ね平穏な状況にあります。

    他方、同寺院周辺の国境線は未だに確定されていないので、カンボジア・タイ関係の推移等、今後の動向には引き続き注意が必要です。

  • (4)
    オッドーミアンチェイ州

    カンボジア北西部オッドーミアンチェイ州のタイとの国境地帯では、2010年6月以降、カンボジアとタイ両国軍の間で断続的な武力衝突が発生しており、2011年4月にはトモードーン、タークロバイ寺院およびターモアン寺院周辺で、それぞれ大規模な銃撃戦が発生し、両国軍双方に死傷者が出ました。現在事態は沈静化していますが、カンボジア・タイ関係の推移等、今後の動向には注意が必要です。

  • (5)
    カンボジア北西部等(地雷埋設地域)

    カンボジア北西部(バッタンバン州、バンテアイミアンチェイ州、オッドーミアンチェイ州、プレアビヒア州)およびコッコン州、ポーサット州のタイ国境沿いなどの地域の一部では、内戦時代に埋設された地雷が今でも多数残っており、これらの地雷に誤って触れた住民が死亡したり、大怪我をする事故が現在も報告されています。地雷が埋設されている地帯には、立ち入り禁止を意味するドクロのマークが描かれた看板がありますので、この看板のある地帯には絶対に立ち入らないでください。
    また、看板がない場所であっても、周辺の農地や空き地、森林等へ不用意に立ち入ることのないようにしてください。

3. 滞在に当たっての注意

首都のプノンペンやアンコール遺跡のあるシェムリアップ州など、観光客の多く集まる地域では、人混みの中でのスリ被害、レンタルバイク、自転車乗車時のひったくり被害、いかさま賭博詐欺あるいは休憩中の置き引き被害など、日本人が被害に遭う例が報告されていますので、十分注意してください。

国内の車両台数の増加に伴い、交通事故の発生件数も大幅に増えています。以下の点に留意してください(詳細は安全対策基礎データをご参照ください)。

  • 歩行中または車の運転中は細心の注意を払う(逆走や急な方向転換など、予想できない走行をします)。
  • 日没後の移動は極力避け、やむを得ず外出する際には、できる限りトゥクトゥクの利用は避け、自家用車やメータータクシー等を利用する。
  • やむを得ずトゥクトゥクを利用する場合は、利用したことのある信頼できるドライバーを電話で呼ぶか、旅行代理店から紹介を受ける(トゥクトゥク乗車中のひったくり被害も発生しているので、乗車後も気を抜かないでください)。
  • モトドップ(バイクタクシー)乗車中の事故は大けがにつながる恐れがあるため、乗車は避ける。カンボジアで車両を運転する場合には、必ず自動車保険に加入するとともに、仮に事故を引き起こした場合には、直ちにその場から保険会社に連絡する(過去に、人身事故を起こした日本人がその場から立ち去り、現地人に追跡された上、集団暴行を受ける事案が発生しています)。
  • 外灯のない道路やヘッドライトやテールランプを点灯していない車両もあるため、夜間の移動は慎重に行う。

旅券(パスポート)の紛失や盗難により、新たに旅券や「帰国のための渡航書」の発給を受けた場合、入国管理局にて「出国ビザ(ExitVisa)」を取得する必要があります。このビザの取得には少なくとも3日(土日祝日を除く)を要する上、発行場所がプノンペンの入国管理局のみであるため、大使館で旅券や「帰国のための渡航書」の発給を受けたとしても、直ぐには帰国することはできません。したがって、旅券の管理にはくれぐれも注意してください。
なお、ひったくり、スリ、空き巣等による被害に遭わないよう、旅券は他の貴重品とは分けて携行・保管するようにしてください。

アンコール遺跡には足場の悪い場所が多くあります。特に雨季には、遺跡の上にコケが発生し、足下が滑りやすくなります。過去には転落事故も起きていますので、滑りにくい靴を履き、危険な場所には立ち入らないなど、十分注意してください。また、アンコール遺跡は神聖な場所とされています。予期せぬトラブルを避けるためにも、ミニスカートやタンクトップなど肌の露出の多い服装は避けるようにしてください。
高温多湿な気候のため、旅行中に健康を損ねる人も少なくありません。水分・ミネラルの十分な補給を心がけるとともに、疲労を感じたときは無理をせず休息をとるようにしてください。

下痢などを主な症状とする消化器系の感染症や、蚊が媒介する「デング熱」、「ジカウイルス感染症」、「マラリア」および「日本脳炎」などの感染症が流行しています。飲料水や食品の摂取には十分注意し、また、蚊に刺されないよう肌の露出を控え虫除け剤を使用する等の対策に努めてください。
また、高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)については、WHOの発表によれば、カンボジアでは2005年から2014年までヒトへの感染が報告されており、同国内における人の発症者数は累計で56人(うち死亡者37人)となっています。近年はヒトへの感染は報告されていませんが、カンボジア国内の家禽類の間では鳥インフルエンザが散発していますので、滞在中は、ニワトリやアヒルなどの家禽類や野鳥との接触は極力避け、食事前の手洗いを励行し、食事は十分火が通った物を摂るなど、衛生管理に十分注意してください。

カンボジアの医療水準は概して低く、一定の診療技術および医療機器を備える医療機関は一部の私立病院に限られます。特に重い病気や負傷の場合には、タイやシンガポール等に緊急移送され、高額の移送費および治療費を請求されることがあります。旅行に際しては、医療面に限らず、不測の事件被害あるいは事故等に備えるためにも、緊急搬送を含む十分な補償内容の海外旅行保険に加入しておくことをお勧めします。

海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
3か月以上滞在する方は、在カンボジア日本国大使館または在シェムリアップ領事事務所が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず在留届を提出してください。
3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新安全情報や、緊急時の大使館からの連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。

  • 詳細は、外務省海外安全ホームページをご覧ください。

テロについて

概況

カンボジアでは、現在でも闇市場に小型武器や手榴弾等が出回っており、2009年1月には国防省前およびTV3放送局前に爆発物が設置される爆発未遂事件が発生し、「クメール民族和解戦線」(タイガーヘッド)のメンバー5名が逮捕されました。また、2013年8月にはプノンペン都裁判所前および与党・人民党コンポンスプー州本部前において爆発物が爆発する事件が発生しましたが、犯行主体については不明のままです。

カンボジアでは、2003年にジュマ・イスラミーヤ(JI)の活動に関与していたとされるイスラム系団体の構成員4名が逮捕されたことがあり、また、2015年にタイ国境付近で同年8月のタイにおける爆発事件の関係者とされる男が逮捕されました。

現在、イスラム過激派等のテロ組織の活動は確認されていません。

日本人・日本権益に対する脅威

現時点では、カンボジアにおいて日本人・日本権益がテロや誘拐の直接の標的とされる可能性は低いとみられます。しかしながら、日本人を含む外国人観光客が多く訪れるシェムリアップ州等の観光地、ホテル、飲食店等がいわゆるソフトターゲットとしてテロの標的とされ、日本人がその巻き添えとなる可能性は排除しきれません。

近年、シリアやチュニジアにおける日本人が殺害されたテロ事件や、パリでの同時多発テロ事件等が発生しています。このように、世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか、これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており、日本人・日本権益が標的となり、テロを含む様々な事件の被害に遭う恐れもあります。

このような情勢を十分に認識して誘拐、脅迫、テロ等に遭わないよう、また、巻き込まれることがないよう、海外安全情報および報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

誘拐について

テロ組織等によるとみられる誘拐事件の発生は確認されていません。国家警察によれば、2015年、身代金目的の営利誘拐の発生はありませんでした(2014年は6件発生)。

その他一般犯罪の発生状況

カンボジア内務省の犯罪統計資料によると、2017の犯罪総件数は2,773件で前年の同時期(約2,600件)と比較して微増(+4%)と発表されていますが、強盗や窃盗等の対物犯罪1,280件が全体の約46%を占めています。

日本人に対する一般犯罪としては、殆どが金品目的のひったくり、いかさま賭博詐欺、スリや住居侵入事案です。カンボジア国内には、依然としてけん銃等の武器が出回っていることから、銃器を使用した凶悪犯罪につき、注意する必要があります。2013年には拳銃使用強盗事件による日本人被害が2件発生しており、1件は被害者が死亡し、もう1件は人通りの多いマーケット周辺で発生し、被害者が重傷を負っています。

犯罪多発地域
プノンペン

プノンペンでは、マーケットなどの人混みを歩いている際に、カバンやリュックから財布や携帯電話、旅券(パスポート)などの貴重品を盗まれるケースが後を絶ちません。また、歩行中やトゥクトゥク(三輪タクシーなど)に乗った旅行者が、後方から走り寄ったオートバイに乗った男にかばんや荷物をひったくられる事案が頻発し、また、目的地とは異なる場所へ連れて行かれ、運転手やその仲間に脅されて金品を奪われる例も報告されています。

最近では、滞在中のホテルやアパートにおいても犯罪が発生しています。ホテルに滞在中の短期旅行者が、部屋を留守にしている間にクローゼット内の金庫を荒らされて貴重品を盗まれたり、在留邦人が、アパートの高層階だから安全と思い込み、施錠せずに就寝していたところ、部屋を荒らされて金品を奪われたりした例もあります。ホテル・アパートともに、警備員が24時間配置されていても油断は禁物ですので、備え付けの金庫は過信しない、就寝中は必ず施錠するなどの基本的な安全対策を心掛けるようにしてください。

シェムリアップ(アンコールワット遺跡)
日本人旅行者がモトドップ(オートバイタクシー)、トゥクトゥクや自転車に乗っている間に手荷物をひったくられる被害事例が発生しています。また、過去には無許可ツーリストガイドによる観光案内で法外な料金を請求される事案も発生しています。

日本人の被害状況

ひったくり

カンボジアにおいて、日本人旅行者および在留邦人が数多く遭遇している犯罪被害は、歩行中、またはモトドップ、トゥクトゥクや自転車に乗っている間に手荷物をひったくられる事案です。具体的な事例としては、日本人旅行者が歩行中にスマートフォンで通話をしながら歩行していたところ、突然、後方から近づいてきたオートバイに乗った男にスマートフォンをひったくられる事案や、トゥクトゥクの後部座席に乗車していた日本人旅行者が、後方から近づいてきたオートバイに乗った男に座席に置いていたカバンをひったくられる事案が多発しています。
たすき掛けした肩掛けバックをひったくられ、バックが体から離れずに道路を引きずられる例も発生しているので注意が必要です。

最近では、ナイフで腕を切りつけられひったくられる事案、ポーチをたすき掛けにしていた際、ひもをナイフで切りつけられひったくられる事案、ひったくり時に被害者が抵抗したため、犯人が拳銃を使って威嚇若しくは発砲する事案もあり、日本人の被害も発生しています。

2013年3月には、日本人男性がトゥクトゥク降車時にオートバイに乗った2人組の男性にバッグをひったくられそうになり抵抗したところ、犯人の1人に拳銃で撃たれて死亡した事案が発生し、また、同年9月には、たすき掛けしていたバッグをひったくられそうになった日本人女性が抵抗したところ、犯人に拳銃で撃たれて重傷を負った事案が発生しました。カンボジアにおいては、拳銃を使用した犯罪が日常的に発生していることを十分認識することが必要です。

いかさま賭博

旅行者がいかさま賭博の被害に遭う事例が頻発しています。被害額も高額になってきており、今後も類似の事件が続発することが憂慮されます。犯行の手口は次のようなものです。

レストラン、路上において、アジア国籍(マレーシア人、シンガポール人、インドネシア人等)と称する人物(男性の例もあれば女性の例もあり)に話しかけられ、言葉巧みに自宅と称する家に招かれる。内容は兄弟が日本に居たことがある、日本に留学する、日本語の資料を見て欲しい等様々です。その後、家で待っていた複数の男女から、「絶対に負けないポーカーの方法を教える。これから訪ねてくる客があるので、そいつから大金を巻き上げよう」などと言われ、ほとんど強制的にいかさまの方法を教えられます。もしくは、時間つぶしにゲームに誘われ、ポーカーを始めた後にいかさまを教えるケースもあります。多くのケースでは、事前にご飯をごちそうになることがあり、心理的に断れない状況を作ります。また、出口は男が立ち塞いでおり、逃げることも難しいようです。

それから来客を待ってゲームが始まり、賭け金を置くと最初の数回は勝つものの、次第に負けがかさみ結局持ち金をすべて取られた上、ATM等でお金を下ろすよう脅迫されます。また、最近では勝負中に掛け金が増大し、支払えない分の現金を持ってきてほしいと頼まれ、ATM等でお金を下ろしたら言葉巧みに相手方が現金を預かりそのまま逃走することもあります。その他に被害者が多額のお金を持っていると判断した場合、軟禁されて何度もATM等に行かされた例もあります。

スリ

シェムリアップ州のアンコールワット遺跡等において、日本人旅行者がスリの被害に遭ったとの報告があります。遺跡観光中に人ごみを通り抜けた後、気が付くとカバンの口が開いていて中の貴重品がなくなっていたという事案や、ツアー参加者と一緒に食事中、気がつくとカバンがなくなっていた、というような事案がほとんどです。

プノンペン都内でも、ショッピングモールやセントラルマーケット、ナイトマーケット等の人ごみで買い物をしている間、ズボンのポケットに入れておいた財布がなくなっていたという事案、また、所持していたカバンをナイフで切られ、中に入っていた財布等がなくなっていた、という事案が発生しています。

窃盗事件

プノンペン都内において、見ず知らずの男にマッサージに行かないかと声を掛けられ、勧められた店に行ったが、マッサージが終わり足下に置いていたカバンを確認したところ中身がなかったという事例が発生しています。

ホテル侵入盗

ホテルやゲストハウスの低層階に滞在し、就寝していたところ、扉や窓から侵入した何者かに、室内に置いてあった現金等の貴重品を盗まれるという事例が発生しています。犯行は、比較的警備の手薄なゲストハウスや、ホテルの低層階の客室を狙って行われるようです。また、高層階のため、鍵をかけないで就寝していたところ、侵入された事案もあります。玄関扉のほか、窓から侵入されることもあります。

防犯対策

  • 宿泊する場合には、安価なゲストハウスの利用は避け、防犯対策がしっかりして警備員が配置されたホテルを選定する。また、外出、就寝の際には、窓および扉を施錠する。
  • 日没後の外出は極力避け、止むを得ず外出する際には、モトドップやトゥクトゥクの利用は出来る限り避け、ホテルのタクシー等を利用し、早めに帰る。
  • トゥクトゥクの利用にあたっては、使用したことのある信頼できるドライバーを電話で呼ぶ、料金も事前に確認できるアプリなどを利用したタクシー(三輪タクシーなど)を呼ぶか、旅行代理店から紹介を受ける。また、乗ったからと言って気を抜かず、指示と異なる方向に向かっていないか常に周囲の様子を確認する。手荷物は胸に抱えて持つようにし、盗らせないという意思を示す。
  • モトドップは交通事故の危険性もあることから極力利用しない。
  • ひったくり被害が頻発しているので、外出の際には、旅券(パスポート)、貴重品(クレジットカード等)、多額の現金等は、ホテルのフロントにあるセーフティボックス等、比較的安全な所に保管する。また、できる限り手荷物を持たないようにし、可能な限り両手を自由にする。
  • 止むを得ずバッグ等を所持する場合は高価なバッグ等は避け、バッグ本体を車道側に下げないようにする。また、バッグは肩に掛けているとひったくられやすく、また、たすき掛けにした場合は取られにくい反面、強奪された際、負傷する可能性が高いため注意する(たすき掛けにした場合は両手で抱える)。また、パスポートや財布など貴重品は分けて持つなど、万が一、1つのバックが盗まれてすべて失うというようなことがないよう対策をする。
  • アンコールワット等の遺跡観光をする際には、パスポート、貴重品(クレジットカード等)、多額の現金は、ホテルのフロントにあるセーフティボックス等安全と思われる場所に保管しておき、旅券や貴重品の入ったカバンを持ち歩く場合には、常に開口部が見えるような位置を保つよう心掛け、警戒を怠らないようにしてくださいようにする。また、疲れていると警戒心も薄れるので、観光中、体が疲れたと感じたときは休憩をとる(無理は禁物)。
  • 外出する際は、ホテルのフロント、添乗員等から現地の事情をよく聞き、周囲に警戒を払い、人通りの少ない裏道などへの立ち入りは避ける。
  • 万一、強盗等不測の事態に遭遇した場合、命を守ることを最優先とし、無理な抵抗はしない(抵抗する素振りを見せると発砲される可能性がある)。

不測の事態が発⽣したときには、家族等の依頼を受け⼤使館より安否確認の連絡をする場合がありますので、滞在先等は必ず家族に連絡しておく等、常に所在を明確にしておくようにしてください。
⾮常事態が発⽣したと思われるような場合や、外出中に不測の事態に遭遇した場合は、⾃宅か職場等の安全な場所に戻り、事態が静まるまで待機してください。また、必ず⽇本国⼤使館に連絡してください。

緊急時の連絡先

安全のために、普段から予防対策を心掛けておくことが重要ですが、いざ事が起こったときのことを想定して、その時に被害を最小限にするための対策を講じておくことも大切です。緊急連絡先はメモしておき、家族それぞれが持つような努力が必要です。

警察・消防・救急

プノンペン
  • 都警察:TEL 012-999-999
  • 都警察入国管理課:TEL 012-835-666
  • 都警察ツーリスト警察:TEL 012-942-484
シェムリアップ
  • 州警察入国管理課:TEL 012-821-183
  • 州警察ツーリスト警察:TEL 012-402-424
  • 出典:
    損保ジャパン・SOMPOリスクマネジメント『海外生活を安全におくるために November2018』
    ジェイアイ傷害火災保険株式会社 『海外での医療事情』

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