マレーシアの生活情報や医療事情

マレーシアの基礎知識

名称 マレーシア 日本国(ご参考)
面積 33万㎢ 37万8,000㎢
人口 3,200万人(2016年) 1億2,659万人
首都 クアラルンプール 東京(人口1,383.2万人)
通貨
(2017年9月)
マレーシア・リンギット
(1リンギット=26.94円)

(1米ドル=111.01円)
時差 -1時間
言語 マレー語(国語)、中国語、タミール語、英語 アルタイ語系の日本語
民族 マレー系(66%)、中国系(約25%)、インド系(約8%)、その他(1%) アジア人種の日本民族・朝鮮人・中国人・北海道に少数のアイヌ人
宗教 イスラム教(連邦の宗教)、仏教、儒教、ヒンドゥー教、キリスト教、原住民信仰 仏教・神道・キリスト教
気候 全体的に1年を通じて高温多湿。東シナ海に面する東マレーシアは11月~2月に、マレー半島東部では10月~3月に熱帯モンスーンの影響を受け、強い雨と風にみまわれる。一方、マレー半島西部では、南西からくるモンスーンがスマトラ島で多量の雨を降らせてくるためその影響は少ないが、6月~9月にかけて雨が多く降る時期もある。 南部は温帯気候、北部は冷帯気候。モンスーンの影響が強く、6~8月は南東モンスーンにより多量の雨がもたらされる。11~3月は大陸からの北西モンスーンにより、北部は厳しい寒さとなり、日本海に面した地域には多量の雪が降る。
代表的な
都市の気温
クアラルンプール:
年間通じて平均26~27℃
東京:
0℃/9℃(1月)
22℃/29℃(7月)
(最低気温/最高気温)
電化製品
電圧:
220V
プラグタイプ:
B、Bf、C
電圧:
100V
プラグタイプ:
A
在留邦人数 24,411人(2017年10月現在)

出国・入国するときの注意事項

下記は2018年8月現在の情報です。最新情報については、外務省・在日マレーシア大使館等のウェブサイトを参照してください。

査証(ビザ)

日本とマレーシアとの間には査証免除の取り決めがあるため、滞在期間3か月を超えず、かつ報酬等の収入目的とした活動に従事する者を除き、無査証で入国が可能です。ただし、宗教活動、調査研究活動、テレビ・映画撮影等の目的の場合は、査証が必要です。
なお、旅券は有効期間(残余期間)が6か月以上ないと入国を拒否されるので、注意する必要があります。

出入国審査

旅券を提出して審査を受けます。入国時には、審査官から入国目的・滞在期間を尋ねられ、旅券に滞在期間が記載されます。査証を不要とする滞在期間は、3か月以内です。2011年6月1日から、生体認証システム導入により、両親指・両人差し指の指紋登録を求められます。長期滞在予定者は、入国後、必要に応じて延長手続きを行います。また、手続きには相当の日数を要するため、早めに行うことが必要です。また、予防接種証明書は、汚染地区を通過して来ない限り提示を求められることはありません。
サバ州およびサラワク州は、別途異なった入域管理を行っており、各々への入域には、クアラルンプール等マレー半島部のマレーシア国内から旅行する場合でも旅券を提示して入出国許可を受ける必要があります。

外貨申告

マレーシア政府は、マレーシア人と外国人を含む全ての旅行者に対し、一定額以上の通貨の国外への持ち出しや国内への持ち込みについて、以下のとおり規定しています。

マレーシア貨

1万米ドル相当を超えるマレーシア貨の持ち出しは、マレーシア中央銀行(バンク・ネガラ)の許可が必要で、持ち込みについては、税関に申告する必要があります。

外貨

1万米ドル相当を超える外貨(T/Cを含む)を所持している場合は、税関に申告が必要です。申請書は空港の移民局事務所、あるいは税関で入手できます。

通関

免税品の持ち込みは、葉巻煙草225g(紙巻き煙草200本に相当)、酒類1リットルまでが、それぞれの上限となっています。また、麻薬類、ポルノ等の出版物・絵画・写真・読本・石版刷りカードおよび彫刻、銃器類、短剣・ナイフ等が主な輸入禁止品です。なお、3,000GHz以上の周波数帯を受信可能なラジオ受信機、爆竹、ビデオテープは、検閲の対象になります。

滞在許可証

滞在期間の延長、在留資格の変更手続きは移民管理局(Immigration Office)で行います。滞在期間を超えての滞在または在留資格外の活動は、それぞれ罰せられ、国外退去となる場合があります。早めに手続きをすることが肝要です。なお、1年以上滞在する長期雇用契約者用査証(Employment Pass)を取得した人には、移民局から「Expatriate Identification Card」が発給されます。

現地に到着したら

在留届

旅券法第16条により、外国に住所または居所を定めて3か月以上滞在する日本人は、住所または居所を管轄する日本の大使館または総領事館(在外公館)に「在留届」を提出するよう義務付けられています。住所等が決まりましたら、必要事項を記入の上、速やかに最寄りの在外公館へ提出してください(世帯ごとに届出をすることもできます)。
提出はFAXまたは郵送、インターネットで可能です。提出にあたっては、「在留届」用紙の注意事項をよく読んで提出してください。

  • 住所その他届出事項の変更およびマレーシアを去る(一時的な旅行を除く)ときはその旨の届出(変更および帰国届)を行ってください。

在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者(海外旅行者・出張者など)についても、現地での滞在予定を登録できるシステムとして、2014年7月より外務省海外旅行登録「たびレジ」の運用を開始しています。登録者は、滞在先の最新の海外安全情報や緊急事態発生時の連絡メール、また、いざというときの緊急連絡などの受け取りが可能です。

注意が必要な生活環境

各種取締法規

旅行制限

基本的に旅行に関する制限はありません。ただし、軍事関係施設、宗教施設、危険地域等の中には、入域禁止されているかあるいは監督官庁の許可取付けを必要とするところがあります。また、国立公園内での動植物の捕獲・採集は禁止されており、他の地域についても禁止されているかあるいは許可取付けを必要とするものがあります。

写真撮影

博物館、寺院・モスク、軍事施設等には撮影禁止区域があるため撮影前に確認が必要です。なお、撮影禁止区域には、その旨の表示があります。また、地元の一般市民(特にイスラム教徒の女性)を撮影する場合は、事前に本人の了解を得る必要があります(勝手に撮影することで反感を招かぬよう配慮してください)。

麻薬

マレーシアにおいても、麻薬等違法薬物に関わる規制は非常に厳しく、外国人も例外ではありません。危険薬物法(1983年改正)によれば、ヘロイン・モルヒネ15g以上、あるいは大麻(マリファナ、カンジャ)200g以上の所持は死刑、また、それ未満でも無期懲役等の重刑が科されます。麻薬関係の違反者は、外国人であっても厳しく処罰されており、「外国人旅行者だから少しぐらいは大丈夫だろう」などという考えは絶対に通用しません。

麻薬撲滅のため、空港、警察署、病院など至るところに“DADAHDEATH”(麻薬=死)の表示を行い、また、テレビ放映等でもその恐ろしさを訴えています。
麻薬犯罪に巻き込まれないためにも、次のことに留意ください。

  • 自分では気付かないうちに「運び屋」として利用される可能性もあるので、入出国の際に、見知らぬ人物または知り合ったばかりの人物から、「△△氏へのおみやげに、この箱を持って行ってほしい」などの依頼を受けた場合は、毅然とした態度で拒否する。
  • 警察が摘発のための捜査を行う場合は、とりあえず現場にいる人すべてを逮捕するので、路地裏等麻薬取引が行われている可能性が高い場所には絶対に立ち入らない。
  • 自動車に麻薬を積んでいる場合もあるので、事情を知らずに同乗し、一緒に検挙されることのないよう、ヒッチ・ハイク等は絶対にしない。

就労許可

就労目的の場合は、入国前に必要な査証を取得しておく必要があります。なお、取得していない場合は、直ちに移民局に出向き、必要な手続きを取らなければなりませんが、種類によって、マレーシアで申請できるものと、申請できないものがあります。

銃器

銃器法等で厳しく規制されています。過去に、日本人の短期商用出張者がモデルガンをマレーシアに持ち込んで、「模造銃砲類所持違反」容疑で警察に身柄を拘束され、その後、裁判の結果、有罪(罰金刑と拘留)となった事件が発生しています。マレーシアでは、日本と事情が異なり、モデルガン所持も犯罪行為になります。

身分証明書の携帯

日本人旅行者が検問中の警察官から旅券の提示を求められ、(紛失により)不携行であったため警察に身柄を拘束されたことがありました。置き引きやひったくりに十分に注意しつつ、旅券は常時携行する必要があります。
なお、旅券紛失の際は、速やかに、警察に紛失届けをするとともに最寄りの日本国大使館もしくは総領事館において旅券もしくは「帰国のための渡航書」の発給を受けてください。

その他

賭博や売買春行為等には、厳しい規制と罰則が適用されます。十分御留意ください。その他、思想、宗教活動にも厳しい制限があり、国の治安を損なう危険性のある印刷物(例えば、共産主義等に関するもの)の発行・販売は禁止されています。

風俗・習慣・国民性

マレーシアは、憲法上イスラム教を国教(連邦の宗教)と定めており、人口の半分以上を占めるイスラム教徒の間では、次のような教義、風俗、習慣があるので留意する必要があります。

  • 酒、豚は摂らない。
  • 左手は不浄とされているので、握手、物の受渡しは右手を使う。
  • 人差し指で指すことは、失礼なこととされているため、親指を使う。
  • 頭は、身体の神聖な部分とされているため、子供の頭はなでたりはしない。
  • 婦人に対しては、こちらから握手を求めない。
  • 日没から夕方の祈りの時間が始まるので、日没後1時間程度は、訪問および電話を避ける。また、イスラム教徒を招待する夜の行事には、開始時間の配慮が必要。
  • イスラム教徒(マレー系とごく一部の中国系およびインド系)は毎年、イスラム歴に従って約1か月間、日の出から日没までの間は、飲食・喫煙等を断つ「ラマダン」がある。この期間中、イスラム教徒を食事に招待する等の交際は、相手の都合を配慮して行う必要がある。
  • イスラム教では、金曜日が集団礼拝の日とされており、その機会を利用して、政治的スピーチやデモが行われ、それが大規模化、暴徒化する場合があります。また、その際、モスク等宗教施設やデモ等を狙ったテロや襲撃が行われることもありますので、特に金曜日には不用意に宗教施設等に近づかないようにしてください。

健康・医療

マレーシア(クアラルンプール)で過去に発生した保険請求事故実例

  • 左半身が麻痺。脳梗塞と診断され24日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。
    治療・救援費用 保険金支払額:
    5,072,985円
※ジェイアイ傷害火災調べ 2016年8月時点

医療事情

マレーシアはマレー半島の南半分を占めており、北はタイと南はシンガポールと相対しています。気候はいわゆる常夏で、日中の気温は年間を通じて24℃から32℃となりますが、夜間・早朝にかけては比較的涼しくなります。10月から2月が雨季にあたるため降水量が多くなります。

東南アジア諸国の中ではインフラ整備が進んでおり、首都クアラルンプールは非常に近代的な都市です。しかし都市部を離れるとインフラ・衛生状況も日本とは異なり、上水道は比較的管理されていますが、配管・貯水槽の管理に問題があるためミネラルウォーターや浄水器の使用を勧めます。またインドネシアのスマトラ島やカリマンタン島における焼畑農業や山火事に起因する煙、排気ガスなどに含まれる微粒子が原因となって起こる大気汚染の一種ヘイズが見られることがあり、目やのどの痛みを訴える人もいます。ヘイズは4月から10月にかけて悪化し、汚染された大気は南西モンスーンによって隣国のシンガポールやマレーシアを覆い、健康被害が懸念されるようになります。

医療機関は比較的充実しており、大きな私立病院であれば設備も十分に整っているため特に問題なく受診できます。こうした病院の多くでは海外旅行傷害保険があればキャッシュレスで受診できます。ほとんどの医師は英語を話し、日本人スタッフや日本語での診療が可能な医師が勤務している私立病院もあります。このような医療機関は一般に高額なので、海外旅行傷害保険に加入しておくことをお勧めします。

注意を要する病気

急性胃腸炎

細菌・ウイルスによるものが多く、腹痛・下痢(時により発熱や嘔吐)といった症状が起こります。毒性の強い細菌に感染しない限りは、脱水症状にならないように適宜水分を補給し、菌を出してしまえば改善しますので、必要以上に神経質になる必要はありません。細菌性の下痢では、下痢止めを使いすぎると、かえって腸内で毒性の強い菌が増え、症状を悪化させることがありますので、注意が必要です。なお、衰弱が著しい場合や、何日も下痢や発熱が続く場合などは、医師に相談してください。多くは、病原性大腸菌、サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、コレラ菌、赤痢菌、ノロウイルス、アメーバ赤痢などが原因となります。生ものや加熱不十分な食品、都市部以外で衛生的ではない水道水、ストリートフードの摂取はなるべく避けるようにしましょう。このほか旅行での疲労、暴飲暴食、慣れない食べ物が原因で起こる下痢などもあります。

デング熱・チクングニア熱

蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ。主に日中に活動する)に媒介されるウイルス性感染症です。都市部でも多く発生しており、蚊が発生しやすい雨季に患者も増加します。虫除け、蚊取り線香などを使用し、身を守ってください。デング熱は、発熱・頭痛・筋肉痛・発疹といった症状がみられますが、一部は重症化し、血小板の減少、時にデング出血熱に移行して死亡する人もいます。チクングニア熱は発熱と関節痛が必発し、筋肉痛、リンパ節腫脹などがみられることもあります。デング熱・チクングニア熱にはワクチンや直接有効な治療薬は存在せず、安静と対症療法を行うことになります。

ジカウイルス感染症

南米の他、アジア地域でも発生が増加しており、マレーシア国内でも流行地域への渡航歴のない患者の発生が報告されています。デング熱と同じ蚊がウイルスを媒介しますので、防蚊対策が重要です。また、母胎から胎児への感染(母子感染)、輸血や性交渉による感染リスクも指摘されています。こうしたリスクを考慮し、流行地域に滞在中は、症状の有無にかかわらず、性行為の際にコンドームを使用するか、性行為を控えるようご注意ください。また、流行地域から帰国した男女は、症状の有無にかかわらず、最低6か月間、パートナーが妊婦の場合は妊娠期間中、性行為の際にコンドームを使用するか、性行為を控えるようにしてください。なお、性行為による感染は、男性から女性パートナーのみならず、女性から男性パートナーへの感染例も報告されています。

ジカウイルスに感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は2~12日であり、主に2~7日で、およそ2割の人に発症するといわれています。発症すると軽度の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、斑丘疹、疲労感、倦怠感などを呈しますが、一般的にデング熱やチクングニア熱より軽症といわれています。妊娠中または妊娠予定の女性が感染すると、母子感染によって胎児に小頭症等の先天性障害をきたす可能性が指摘されています。現在、ジカウイルス感染症には有効なワクチンや特異的な治療法はなく、対症療法が行われます。ジカウイルス感染症が流行している地域で蚊に刺された後に発熱が続く、または発疹が出るなど、ジカウイルス感染症を疑う症状が現れた場合には、医療機関への受診をお勧めします。

日本脳炎

都市部で感染することは少ないものの、1年を通して散発的に発生しています。特に、サラワク州では、10月~12月を中心に患者が多く発生しています。日本脳炎は発症した場合その20~40%が死に至ります(突然の高熱、頭痛、嘔吐や意識障害)。流行地域を訪れる場合は予防接種をお勧めします。

マラリア

都市部で感染することはまずありませんが、半島内陸部、特に森林地帯では現在も発生しています(ボルネオ島のサバ州やサラワク州の森林地帯の限られた地域、半島内陸部など)。マラリア原虫に感染している蚊(ハマダラカ。夜間に活動する)に刺されることで感染します。マラリアにもいくつかの種類がありますが、その中でも重症度が高い熱帯熱マラリアについて述べますと、潜伏期間(感染しているが症状がまだ出ていない期間)が約1~2週間(ほとんどが1か月以内に症状が出ます)あり、突然の高熱がおこります。治療はメフロキン、アーテスネイトなどの抗マラリア薬を使用します。

治療開始が遅れると脳や腎臓への影響が出てしまい、死亡する危険性があります。
通常の観光旅行や都市部での滞在では感染の危険性はまずありませんが、トレッキングツアーやエコツアーなどの自然と触れ合うタイプの旅行の場合には虫除け対策をしっかりと実施してください。

狂犬病

マレーシアは、1999年に狂犬病清浄を宣言しましたが、2015年にペナン、ペルリス、ケダの3州で感染が広がったことから、狂犬病発生地域と宣言しました。10月9日には終息が宣言されていますので、現在感染の大きなリスクはないものと思われます。しかしながら、犬に限らず野生動物には不用意に接触しないようにしてください。万が一接触し感染の恐れがある場合には、速やかに医療機関を受診して適切な処置を受けてください。狂犬病は発症するとほぼ100%死亡する疾患です。犬などにかまれた場合、必ず当日中に病院を受診し、ワクチンの接種などについて相談してください。

レプトスピラ症・類鼻疽(るいびそ)

レプトスピラ症は2日~3週間の症状のない期間のあと、頭痛、発熱、悪感、筋肉痛、吐き気、下痢や腹痛などが現れたり、皮疹の症状が出ることがあります。重症になると体が黄色くなり(黄疸)、多臓器の機能が障害される、ワイル病と呼ばれる症状を呈することがあり、この場合、最悪死に至ることがあります。抗生物質で治療します。
類鼻疽は数時間~21日間の症状のない期間のあと、発熱を主とする様々な症状が現れ、早い場合発病してから48時間程度で死亡します。何年も経過した後、突然皮膚が化膿したり、重い肺炎を起こしたりすることもあります。抗生物質の投与を主とする集中治療が行われます。
どちらも都市部でのリスクはあまり高くありませんが、熱帯地域では、カヤックなど水に関連するレクリエーションでレプトスピラ症にかかることがあります。2000年には、ボルネオ島での冒険レースに参加した旅行者が集団感染したとの報告がありました。また、類鼻疽(るいびそ)のリスク地域でもあるので、川で泳いだり、特に雨季に土に触ったりしないようにしましょう。

その他の感染症

腸チフス(チフス菌がついた飲食物から感染。発熱だけが症状のこともある)、A型肝炎・B型肝炎といった病気も東南アジアでは一般的に見られています。A型肝炎は食べ物から、そしてB型肝炎は血液・体液から感染しますが、いずれも倦怠感・発熱・黄疸(目の白い部分が黄色くなります)といった症状が出ます。腸チフス・A・B型肝炎については、予防接種がありますので長期滞在される場合は、接種しておくことをお勧めします(都市部の私立病院・クリニックなどで接種できます)。

予防接種

入国に際して義務とされる予防接種はありません。A・B型肝炎、破傷風を特にお勧めいたします。腸チフスの発生もみられますので、検討してもよいでしょう。サラワク州では日本脳炎の発生が多くみられますので、そういった地域に行く機会の多い方は日本脳炎ワクチンの接種も検討するとよいでしょう。乳幼児は赴任までにできればBCG、ポリオとDPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)の1期をすませておくとよいでしょう。接種可能年齢に達していれば、麻疹、風疹、日本脳炎、水痘(みずぼうそう)、A・B型肝炎ワクチン等も推奨します。マレーシアでも接種可能ですが、渡航前にトラベルクリニック等を受診し、接種計画をたてることをお勧めいたします。

健康上、心掛けること

水道水の衛生は比較的保たれていますが、地域や場所によっては十分に殺菌されていない場合もあるため、直接の飲用には適しません。そのため、飲み水は、浄水器を通した後、煮沸したもの、もしくはミネラルウォーターを利用するとよいでしょう。また、水道水によるコンタクトレンズの洗浄は、避けた方が無難です(肉眼で確認困難な微粒子でレンズに傷が付くため)。なお、洗面、入浴などの日常生活においての利用に問題はありません。

食品は、生(なま)ものは気を付ける必要がありますが、十分に加熱処理を施したものであれば安全といえます。ただし、熱帯では、細菌増殖が活発に行われるので、加熱処理後の作り置きには気を付ける必要があります。

  • 野菜類は寄生虫感染の危険性があるので、食べ方(生、加熱処理)に気を付ける必要があります。
  • 魚介類を生で食すことは、寄生虫感染やA型肝炎等に罹患する危険性が高いため、加熱調理を基本にするなど十分注意を払う必要があります。
  • 卵は、十分加熱していないとサルモネラ菌に感染する可能性があります(この菌は、卵の「しろみ」に存在し、米国FDA(食品医薬局)は半熟卵も食さないよう注意を促しています)。
海外⽣活不適応について

気候、⽣活習慣、⾷事、治安状況、⼈種、宗教、⾔葉の違いは、適応に相当な努⼒を要します。うまくいかないと不適応症候群となり、精神⾯のみならず胃腸系や循環器系に変調をきたします。きまじめなタイプや完全主義者に陥りやすい傾向があります。適応には時間がかかること、誰でも⼀度は通る道であることを認識してあせらないことが肝⼼です。疲れたときは無理せず、⼗分な休養、時には⻑期休暇が必要です。
特に家族で赴任されている⽅はご家族のメンタルヘルスにも気を配ってあげて、できるだけ不満や愚痴を聞いてあげるようにしてください。

交通事情

一般的な交通事情

道路事情

マレーシアの交通手段は、高架電車、バス、タクシー、自家用車、オートバイが一般的です。道路は、都市部においては大抵舗装されており、交差点の多くが信号のないロータリー式交差点(ラウンド・アバウト)になっています。主要道路は、朝・夕のラッシュ・アワー、昼の時間帯および雨天時など大変混み合います。
一般的に車優先の道路構造であるため、歩行者の安全性を考慮した横断歩道や歩道橋等が十分に整備されていません。郊外では、牛等の家畜の車道進入があるので注意が必要です。道路標識はマレー語表記のものが多く、信号機は低い位置に設置されています。

規則

交通規則(左側通行、シートベルトやヘルメット着用、飲酒運転禁止、法定速度遵守等)は日本とほぼ同じです。しかし、ラウンド・アバウトにおける右側からの進入車両優先等、覚えていなければわからないような規定・規則も多々ありますので、特に車を運転する場合は、基本的な交通規則を十分に習得しておいてください。

交通事故について

交通事故の主な原因には、車の急増および未熟な運転技能の他、無謀な追越し、速度超過、定員超過等、運転モラルの欠如および交通規則無視があります。特にオートバイは、庶民の足になっていますが、マナーの悪さは甚だしく、そのため主要道路では車との接触事故が多発しています。
なお、過去に日本人が起こした車両交通事故の原因としては、脇見運転、スピード違反、二車線道路での無理な追越し等があります。事故を起こさないよう、また遭わないように注意して運転することが肝要です。

交通事故に巻き込まれたり、事故を起こしたりした場合は、直ちに警察に連絡し、負傷者がいる場合は救急車を呼び、とりあえず安全な場所に運ぶなどの救護措置をとるとともに、警察の指示に従って事故届(被害届)の提出等の対応を行ってください。また、保険会社にも連絡して対応を依頼するとともに、事故が大きな場合には、在マレーシア日本国大使館等最寄りの日本の在外公館にも連絡してください。

マレーシアでは、事故の届け出は交通警察に対し24時間以内に行うこととされています。この規定に反すると、届け出ができなくなるのみならず、保険等の適用まで無効とされてしまうことがありますので、軽い物損事故等であっても必ず交通警察への届け出を行ってください。なお、物損事故等の場合、事故を起こした相手からその場で示談を迫られるようなことも少なくありませんので、禍根を残さないよう、携帯カメラ等で証拠写真を撮影しておくと有用です。

車を運転する場合の注意事項

  • 道路走行中の注意事項は、路上での歩行者の飛び出しです。車は、スピードの出し過ぎが多く、また、追い越しや急な車線変更が見られます。主要道路は多数のオートバイが傍若無人に走行しており注意が必要です。
  • 交通規則は日本とほぼ同じです。ただし、日本で見られない道路標識がある他、マレー語で表示されているものが多いので注意しましょう。信号機も日本のように高い支柱に設置されていません。ロータリー式の交差点も多く設置されています。
  • 都市部の道路舗装率はよいものの、舗装されていても、修理不十分の道路も多く見られます。
  • ガソリンの値段は、日本より安くガソリン・スタンドも24時間営業の店が多く利用しやすいです。
  • シートベルトの着用は後部座席を含めて義務づけられており、違反者は処罰されます。警察の取り締まりが厳しいため、シートベルト着用率は非常に高くなっています。また、オートバイのヘルメット着用も都市部では100%です。
  • 自動車運転中の携帯電話の使用は禁じられています。

安全に暮らすために

治安情勢(外務省海外安全ホームページより)

下記は2018年8月現在の状況です。外務省海外安全ホームページ等を活用し、常に最新の状況を確認するようにしましょう。また、滞在中は常に治安情勢の変化に気を配り、新聞、テレビ、現地人等の情報にも注意してください。

最新情報

外務省より下記スポット情報が発出されています。

危険情報
本情報は2018年8月31日現在有効です。
マレーシアの危険情報【危険レベル継続】(内容の更新)
(2017/08/02)
危険レベル
  • サバ州東側の島嶼部および周辺海域並びに一部のサバ州東海岸(サンダカン、ラハ・ダトゥ、クナおよびセンポルナ周辺地域)
    レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
  • サバ州東海岸のうち、レベル3発出以外の地域(タワウを含む)
    レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
ポイント
  • サバ州東海岸一帯の大部分および周辺海域では、海賊事件、身代金目的の外国人誘拐等が多発しているほか、様々な武装勢力が活動を行っていることもあり、目的の如何を問わず渡航は止めてください。
  • マレーシアにおいても、ISILをはじめとするテロに関する情勢は予断を許さない状況にあるため、テロ事件等不測の事態に巻き込まれることのないよう、最新の関連情報の入手に努めてください。
1. 概況
  • (1)
    テロ・誘拐等

    2016年6月28日にクアラルンプール市郊外プチョン地区のショッピングモール内飲食店において手榴弾投てき事案が発生し、8人が負傷しました。マレーシア国家警察は、本件事件をISIL関係者がマレーシア国内で敢行した初のテロ事件と発表し、実行犯を含む関係者全員を逮捕しました。
    また、2016年1月15日にクアラルンプール市内でテロ攻撃を企図していたとして男性が逮捕されたほか、同年8月下旬にはテロ容疑に係る大規模な摘発で3人が逮捕されるとともに、けん銃と手榴弾が押収されています。2017年4月には、シリアで警察への攻撃を予告する「警告映像」をインターネット上に公開するなど、宣伝と勧誘活動を主導してきたマレーシア人ISIL戦闘員の死亡が確認されましたが、マレーシアにおけるISIL等のテロに関する情勢は、依然として予断を許さない状況にあります。

    サバ州東側の島嶼部および周辺海域においては、これまでにフィリピン南部ミンダナオ地域を拠点とするイスラム過激派アブ・サヤフ・グループ(ASG)等による外国人誘拐事件が発生しており、最近では海岸にあるレストランや島嶼部のリゾートに対する襲撃事件が発生するなど不穏な状況が続いています。
    ラハ・ダトゥ沖では、2016年7月にトロール船がASGとみられる武装集団に襲撃され、インドネシア人船長と船員計3人が拉致された(9月に解放)ほか、同月18日には砂利運搬船に乗船していたマレーシア人船員5人が行方不明となる事案も発生しました。

    マレーシア政府は、2016年以降、国家警察と軍による大規模商業施設や観光地などにおける合同パトロールや、クアラルンプール国際空港やKLセントラル駅などの交通の要衝における警戒警備強化など、テロ攻撃に対する各種対策を強力に進めています。
    しかし、ISIL等のイスラム過激派組織またはこれらの主張に影響を受けている者によるとみられるテロは世界各地で発生しています。また、外国人戦闘員(FTF)としてシリアやイラクに渡航し、その後、帰還している者も確認されているため、今後、在留邦人や短期滞在者を問わず日本人および日本権益がテロを含む様々な事件に巻き込まれる危険は低いとはいえない状況です。

    マレーシアは、タイ南部、フィリピン南部、インドネシア等イスラム過激派組織を抱える国・地域と隣接しており、今後、国際情勢の推移の状況によっては、欧米などに対する感情が悪化し、マレーシアにある外国権益に対して悪影響が及ぶ可能性も排除されないことにも留意しておく必要があります。

    このような状況に鑑みれば、マレーシアにおいては、テロの発生に十分注意する必要があり、具体的には、以下の点を心掛けてください。

    • テロ事件等不測の事態に巻き込まれることのないよう、最新の関連情報の入手に努める。
    • テロの標的となりやすい場所を訪れる際には、周囲の状況に注意を払い、不審な状況を察知したら速やかにその場を離れる(デパートや市場、観光・リゾート施設、公共交通機関など不特定多数の人が集まる場所、欧米関連施設や宗教関連施設など)。
    • 政府・軍・警察関係施設には近づかない。
    • 爆弾事件や不測の事態が発生した場合の対応策を再点検し、状況に応じて適切な安全対策が講じられるよう心掛ける。
    • 在留地・滞在先等の近くで爆発や銃撃戦等が発生した場合は、直ちに安全な場所に避難するとともに、大使館等に状況等を連絡する。
    • 複数の爆弾が時間差で爆発することも想定されることから、爆発現場には近づかない。
  • (2)
    政治情勢

    東マレーシア(ボルネオ島)のサバ州南東部ラハ・ダトゥ地区では、2013年2月、「スールー王国軍(Royal Sulu Sultanate Army)」と称する武装勢力によるフィリピン側からの侵入事案が発生しました。これに対し、同年3月以降、マレーシア警察・軍による共同掃討作戦が実施され、同年6月末、作戦終了が宣言されました。
    2017年6月、本事案に関与したとして逮捕されていたうちの9人の被告に対し、最高裁は死刑判決を下しました。現時点では事態は沈静化していますが、スールー王国軍はサバの領有権を引き続き主張しており、今後も同種の事案発生が懸念されます。

2. 地域別情勢
  • (1)
    サバ州東側の島嶼部および周辺海域並びに一部のサバ州東海岸(サンダカン、ラハ・ダトゥ、クナおよびセンポルナ周辺地域)
    レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)

    サバ州東側の島嶼部および周辺海域

    同地域では、隣国との密出入国、密輸が絶えず、武器の押収事案や海賊事件が数多く発生しています。2015年以降のマレーシア人および外国人が被害に遭った誘拐事件発生状況は、以下のとおりです。

    • 2015年5月、サバ州東部サンダカンの海岸レストランにおけるマレーシア人2名の誘拐(1名は同年11月解放、1名は殺害)
    • 2016年4月、サバ州東部リギタン島におけるマレーシア人労働者4人の誘拐(同年6月解放)
    • 2016年7月、サバ州南東部ラハ・ダトゥ付近海上におけるインドネシア人船員3人の誘拐(同年9月解放)
    • 2016年7月、サバ州東部海上におけるマレーシア人船員5人の誘拐
    • 2016年8月、サバ州東部サンダカン沖におけるインドネシア人船員1人の誘拐(同年9月解放)
    • 2016年9月、サバ州東部センポルナ沖ポンポン島付近におけるフィリピン人船員3人の誘拐
    • 2016年9月、サバ州東部センポルナ沖におけるマレーシア人船員1人の誘拐(同年10月に身柄確保)
    • 2016年11月、サバ州東部サンダカン沖におけるインドネシア人船員2人の誘拐
    • 2016年11月、サバ州東部ラハ・ダトゥ近海におけるインドネシア人船員2人の誘拐

    マレーシア当局は、海軍・警察・海上法令執行庁等による警戒を実施しているものの、約500キロメートルに及ぶ長い海岸線や50以上の島嶼全域にわたる警備にも限界があることから、同地域には依然として誘拐・テロの脅威の可能性があると指摘しています。これにより2014年7月以降、マレーシア当局はサバ州東側のサンダカン、キナバタンカン、ラハ・ダトゥ、センポルナ、タワウ各地域の沿岸から3海里の地点からフィリピン国境までの海域に対して夜間航行禁止令を発出しています。この海域に近接するフィリピン領域内での誘拐事件、ASGの活動等については、フィリピンの危険情報もご参照ください。

    一部のサバ州東海岸(サンダカン、ラハ・ダトゥ、クナおよびセンポルナ周辺地域)
    2013年2月12日、東マレーシア(ボルネオ島)のサバ州南東部ラハ・ダトゥ地区において、「スールー王国軍(Royal Sulu Sultanate Army)」と称する数百人規模の武装勢力によるフィリピン側からの侵入事案が発生しました。同年3月以降、マレーシア警察・軍は、軍用機、装甲戦闘車を投入した共同掃討作戦を行い、同年6月末に作戦終了が宣言されました。2017年6月には、マレーシアの最高裁判所が首謀者ら9人に対し死刑を言い渡しています。
    一方、ラハ・ダトゥ沖では、2016年中も付近を航行中の船舶がASGと思われる武装集団の襲撃を受け、乗組員が拉致される事件が2件発生しています。
    上記地域では2012年から2015年にかけ、市農園等における労働者誘拐(サバ州南東部・2012年11月)、武装勢力と警察の銃撃戦(センポルナ郊外・2013年3月)、武装勢力とみられる侵入者の発見(クナ・2013年3月)、海岸に位置する高級レストランでASGによる誘拐(サンダカン・2015年11月)が発生し、治安当局が厳重なパトロールを継続しています。
    つきましては、これらの地域(周辺海域を含む)においては、今後もテロや誘拐等が発生する危険性が高いため、どのような目的であれ渡航は止めてください。既に滞在中の方は、常に最新の治安情報の入手に努めるとともに、滞在期間は短期間にとどめ、身の回りや行動に細心の注意を払うようにしてください。
  • (2)
    サバ州東海岸のうち、上記(1)の地域(タワウを含む)
    レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)

    同地域においても、ラハ・ダトゥに上陸した武装勢力がマレーシア軍の攻撃を受け、各地に拡散・潜伏を図ったり、新たな武装勢力がフィリピン側から侵入する可能性があります。
    つきましては、これら地域において、武装勢力の脅威がある点に留意し、不要不急の渡航は止めてください。その上でなお、渡航・滞在される場合には、日程・連絡先等を日本のご家族や現地の関係者に必ず伝えるとともに、在マレーシア日本国大使館等にも事前に連絡して、詳しい現地事情の収集に努め、十分な安全対策を講じてください。

3. 渡航・滞在にあたっての注意事項

マレーシアに渡航・滞在される際は、以下を参考にしつつ、状況に応じ現地大使館や総領事館、または関係機関等より最新情報を入手し安全対策に努めてください。

  • (1)
    在留届、「たびレジ」
    海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
    3か月以上滞在する方は、在マレーシア日本国大使館、ペナン日本国総領事館およびコタキナバル領事事務所が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず在留届を提出してください。
    3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新安全情報や、緊急時の大使館または総領事館からの連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。
  • (2)
    一般犯罪への注意
    マレーシアでは、特に都市部において、スリ・置き引き、ひったくりのほか、観光客等に声を掛けて一緒に飲食し、隙を見て飲み物等に薬物を混入して意識を失わせ、その間に財布等を盗む昏睡強盗やタクシー運転手による乗客狙いの強盗が頻発しています。
    外出時は常に危機意識を持ち、また不自然に接近してくる人物には十分警戒して、これらの犯罪に巻き込まれないよう注意してください。
  • (3)
    薬物関連犯罪への注意
    マレーシアでは麻薬等違法薬物に対する規制が厳しく、違反した場合の法定刑は非常に重く、最高刑には死刑が規定されています。麻薬等違法薬物の使用や売買に関わったり、また知り合いであっても中身のわからないものを安易に預かったり、日本その他への運搬に手を貸すなどの違法行為に巻き込まれないよう、くれぐれも慎重に行動してください。
  • (4)
    注意すべき場所等
    マレーシア国内には特段の旅行制限区域はありませんが、軍事関連施設や宗教施設の中には立ち入りを禁じている場所がありますので、宗教施設や公園または地方を訪問する際には特に慎重に行動し、柵等が設けられている場所に無断で立ち入ったり、動植物を捕獲・採取したりしないよう留意してください。なお、写真撮影も、被写体となる施設あるいは人物(特に女性)によっては問題となることがありますので、事前に可否を確認する等、十分注意してください。
    サバ州東海岸および東側の島嶼部および周辺地域に既に滞在している方は、不測の事態に備え、退避手段・経路等について確認してください。

なお、近隣国のタイ、インドネシア、フィリピンについても、それぞれ危険情報が発出されていますので、併せてご留意ください。

  • 詳細は、外務省海外安全ホームページをご覧ください。

テロについて

概況

マレーシアでは、2015年に入り、イスラム過激派組織ISIL(イラク・レバントのイスラム国)支持者の大量検挙、イスラム過激派組織アブ・サヤフ・グループ(ASG)やISILが構成員をサバ州やクアラルンプールに送り出すことを決定したとされる脅威情報、クアラルンプール市内でテロ攻撃を企図していた者や中東への渡航者の支援を行っていた者らが逮捕されるなど、テロ情勢は予断を許さない状況です。

マレーシアは、銃器・火薬類に対する規制が極めて厳しく、また、国家の安全保障を害する行為についても「治安違反・治安対策法」(Security Offences (Security Measures) Act)、「テロ防止法」(Prevention of Terrorism Act)および関連法令により厳重な規制が行われています。
一方、タイ南部とは陸続きで国境を接しており、また、インドネシア、フィリピン等、国外からテロリストが侵入を企てるのに比較的容易な地勢状況にあります。空港、港湾等においては、2013年には、インドネシアの刑務所を脱獄したインドネシアを中心に活動するJI(ジェマ・イスラミーヤ)関係者がクアラルンプール近郊で逮捕される事件、2014年にはソマリアのアルシャバーブのメンバーが逮捕される事件、2015年にはスリランカのタミル・イーラム解放の虎(LTTE)の幹部メンバーが逮捕される事件などイスラム過激派の構成員が国外から侵入した事例もみられます。また、サバ州東側の島嶼部および周辺海域および同州東海岸一部地域においてはASGによる身代金目的の外国人誘拐事件が発生しています。

各組織の活動状況

当局は、「治安違反・治安対策法」等に基づき、2013年2月以降、国内でテロを計画した者、ISILへの支援者やイラク等への渡航企図者等約150人を逮捕しました。当局による取締りは一定の成果を挙げていますが、ISILの脅威は増大傾向にあると考えられています。
2001年以降、当局はイスラム過激派組織の摘発に力を入れており、旧国内治安維持法に基づき、現在までにJIメンバー100人以上を逮捕しました。このため、マレーシアのJI指導組織は壊滅状態にあるとされ、現在、マレーシア国内でJIによる組織的活動は見られません。
イスラム過激派クンプラン・ムジャヒディン・マレーシア(KMM、マレーシア聖戦団)についても、現在までにメンバー25名以上が逮捕されており、組織は壊滅状態とされています。近年ではKMMの元メンバーがISILの活動に参加したとして逮捕される事件が発生しました。

東マレーシア(ボルネオ島)のサバ州南東部ラハ・ダトゥ地区では、2013年2月、「スールー王国軍」(Royal Sulu Sultanate Army)と称する武装勢力がフィリピン側から侵入し、同地区を一時占拠しました。これに対し、同年3月以降、マレーシア警察・軍による共同作戦が実施され、同年6月末、作戦終了が宣言されました。その後事態は沈静化していますが、武装組織はサバの領有権を引き続き主張しており、今後も同種事案の発生の可能性があります。また、サバ州東側の島嶼部および周辺海域、東岸のうち、サンダカン、ラハ・ダトゥ、クナおよびセンポルナ周辺地域においては、フィリピンのミンダナオ西部を拠点とするイスラム過激派組織アブ・サヤフ・グループ(ASG)による外国人誘拐事件が複数発生しています。

日本人・日本権益に対する脅威

現在のところマレーシアにおいては、具体的なテロの情報はありませんが、ISILの機関誌においてマレーシアに所在する日本の外交使節が標的の1つとして例示されるなど脅威が高まっています。

近年、シリアやチュニジアにおける日本人が殺害されたテロ事件や、パリでの同時多発テロ事件等が発生しています。このように、世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか、これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており、日本人・日本権益が標的となり、テロを含む様々な事件の被害に遭う恐れもあります。
このような情勢を十分に認識して誘拐、脅迫、テロ等に遭わないよう、また、巻き込まれることがないよう、海外安全情報および報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

誘拐について

ボルネオ島に位置する東マレーシア・サバ州東部沿岸域においては、身代金目的の誘拐事件が複数発生しています。2015年5月には、サバ州サンダカンの海岸部のレストランにおいてマレーシア人2名がASGにより誘拐され、1名が解放、1名が死亡する事件が発生しました。過去にも、サバ州各地で武装集団による誘拐事件が発生しており、注意が必要です。

マレーシア当局は、2014年からの誘拐事件の続発を受け、2014年7月19日から現在までサバ州東部海域に夜間航行禁止令を発令するなど、警戒を強化しています。この地域はフィリピンやインドネシアとの国境に近く、海岸線が長く警備にも限界があるため、同地域を訪れた日本人が被害に遭う可能性も排除できず、引き続き十分な注意が必要です。その他、クアラルンプール市街地では2013年9月に、自動車で通学中の子供に対する誘拐未遂事件、11月には、外国国籍を有する幼児が誘拐される事件が発生しました。また、2005年3月には、マラッカ海峡において日本船籍のタグボートが海賊に襲われ、日本人の船長、機関長およびフィリピン人船員の合計3名が誘拐される事件が発生しています。

その他一般犯罪の発生状況

2016年におけるマレーシアの犯罪届出件数は11万2,354件であり、前年比で3,707件減少しています。マレーシア国家警察は、犯罪発生件数は着実に減少していることを強調する一方、スリや置き引き・ひったくりなどの「街頭犯罪」は1万7,333件と昨年よりも1,299件増となっている旨注意を呼び掛けています。主な凶悪犯罪の届出件数は次のとおりです。

  • 殺人:456件(前年比43件減少、人口10万人あたりの発生率は日本の約2倍)
  • 強盗:1万4,453件(同705件増加、人口10万人あたりの発生率は日本の約25倍)
  • 強姦:1,886件(同161件減少、人口10万人あたりの発生率は日本の約7倍)

日本人の被害状況

マレーシアで在留邦人および短期滞在者が遭遇する代表的な犯罪は、上記でも紹介した「街頭犯罪」(スリ・置き引き、ひったくりなど)です。また、路上強盗やタクシー強盗の被害もしばしば報告されます。このほか、「マカオ詐欺」や「アフリカ詐欺」など称されるインターネットを介した詐欺(振り込め詐欺、ロマンス詐欺)は、毎月数件の相談を受けるほど頻繁に発生しています。
これらの詐欺は、日本人のみならず諸外国民も多数被害に遭っていることから、各国大使館でも、インターネット上での接点しかない「知人」に、不用意に金品を送付しないよう警戒を呼び掛けているところです。以下に、日本人がよく遭遇する犯罪被害例を紹介します。

置き引き

空港の出入国時、ホテルのチェックイン・チェックアウト時、飲食店での雑談中、周囲への警戒が緩む隙を狙い、バッグ等から財布等の貴重品を抜き取られるまたはスーツケースや鞄等を盗まれるのが典型例です。
犯人は、声を掛ける、小銭をわざと落とす、子供を近づけるなどの手段で被害者の警戒・注意をそらし、犯行におよびます。よって、「外出中は常に警戒心を保持する」意識を持つことが重要です。日本人が被害に遭った過去の事例では、ビュッフェ・スタイルのレストラン(ホテルの朝食時が多い)で不用意に荷物や携帯電話を置いたまま席を外し、盗難に遭った事案が多数報告されています。

スリ(集団スリ)

マレーシアではスリ被害も多数発生しており、バス等の公共交通機関の車内や、駅・大規模商業施設など、人が密集する場所が狙われます。複数で被害者の周りを取り囲み、被害者や周囲の人々に気付かれないように犯行に及ぶ集団スリや、職務質問名目で財布を預かり、一部の現金を抜き取る手口もあります。集団スリの場合、被害品を盗む実行犯が直ちに周辺にいる共犯に被害品をリレー式で手渡しその場を立ち去るケースが多く、狙われると被害阻止は極めて困難です。
スリの予防は、人ごみをできる限り避け、トートバッグなどふたやチャックのないバッグ、ズボンのポケットなど盗まれやすい場所には貴重品を入れないことが重要です。併せて、バッグ等は常に自分の目に見える範囲で所持し、人ごみでは開口部等を手で押さえておく等、警戒を明示してください。

ひったくり

日本と同様、マレーシア国内の主要都市では、背後から接近してきた2人乗りまたは単独のバイクに手荷物を強奪されるひったくりが頻発しており、女性および高齢者の被害が多数報告されています。ひったくりの際による転倒や、抵抗して路上を引きずられた結果、入院をするほどの大怪我を負う例も多数あります。
したがって、手荷物は極力少なくするとともにバッグ等は、たすき掛けで道路側にさらさないなどの対策とともに、常に自らが標的とされていないか周囲を警戒しつつ行動することが肝要です。

強盗

マレーシアでは、「パラン刀」と称する大型の山刀が常用されているため、これで被害者を傷つけて金品を奪う路上強盗が多数発生しています。犯人は、被害者が抵抗等する場合には躊躇なく切りつけ、金品を全て強奪することがしばしば報じられています。
このため、深夜までの飲酒や夜間の外出、単独行動は厳に慎むとともに、万が一、同様の被害に遭遇した場合には、抵抗せずに身の安全を最優先することが重要です。

昏睡強盗

観光地等で知り合った見知らぬ人物と意気投合し、共に飲食したところ意識を失い、目覚めたときには所持品が無くなったというのが典型的な例です。手口としては、薬物を入れた飲み物を勧める、トイレ等で中座した隙に飲食物に混入する等のものがあります。
被害防止には、見知らぬ人物との飲食は相応のリスクがあることを理解し、飲食を勧められても不用意に口にしないことが重要です。また、食事中に席を離れた場合には、それ以降飲食しない等の警戒も必要です。

自動車強盗

高速道路等を走行中、後続車両から追突・接触され、路肩に停車して降車したところ、相手車両から複数の犯人が現れて暴行を加えられた上、車両を強奪される事案が度々発生しています。
交通事故に遭遇した際は、24時間以内に警察(交通警察)に届け出ればよいことから、事故状況に不審な点がある、あるいは複数の男性が相手方車両に乗車している場合は自動車強盗の可能性を疑い、車両から降りる前に相手をよく観察し、不審点があれば、直ちに離脱して警察署等へ移動することとお勧めします。

タクシーをめぐるトラブル

マレーシアのタクシーは、運転が荒く、料金トラブルも多い傾向があるほか、運転手が乗客から金品を強奪したり女性客を暴行するなどの事件が頻発するなど、安全面でも問題を抱えています。最近はUBERやGRABといった「配車アプリ」を利用して、事前に運転手と支払料金を確認した上でタクシーを利用する者が多数となっており、ホテルや駅などでタクシーを拾う場合でも流しを拾わずに配車アプリで探す方が主流となっています。したがって、タクシーを利用する際は、流しのタクシーを避けてこれら配車アプリを活用し、事件やトラブルを避ける事をお勧めします。

いかさま賭博、当選金詐欺

クアラルンプール市では、ブキ・ビンタンやKLCC、チャイナタウン等を中心に、見知らぬ男女から声を掛けられ、民家に誘われてトランプ・ゲーム(ブラック・ジャック)に興じた結果、金品を騙し取られるという事案が発生しています。また、路上を散策中に「企業キャンペーンの無料くじ」を引くよう誘われ、いわれるがまま引いたところ「高額商品が当選したので事務所に来て欲しい」といわれて移動したところ、手数料や手付金の名目で金銭を支払わされる事案も発生しています。

いずれの事案も、不用意に犯罪集団の本拠地に着いていくことによって発生していることから、見知らぬ人からの誘いには警戒心を持って対応し、不用意に相手方を訪ねることはしないのが重要です。

防犯対策

海外では、言語・習慣等が異なるため、「自分の身は自分で守る」という覚悟を持つことが重要です。犯罪に巻き込まれないための予防策が大切であり、その主なものは次のとおりです。

第三者や関係者の注意がおよびにくい環境(状況)を避ける、警戒を強化する
  • 時間的要素:深夜・早朝、観光シーズン、年末年始、祝祭日、大規模行事実施日など
  • 場所的要素:観光地など(例:史跡・名勝地)、イベント会場(意識が一点に集中するため、身辺の注意がおろそかになりがちとなる)、大規模商業施設(ショッピングモール等)の出入口など
  • 人的要素:高齢者同士、子供連れ、カップル、集団(観光ツアー客、修学旅行、視察団など)
多くの人が集まりやすい場所(状況)を避け、警戒心を強める
  • 路上(特に道路側の歩道、交差点、路地と大通りの境目など)
  • 空港・駅・バスターミナルその他交通の要衝
  • 大規模商業施設、観光スポット、宗教関連施設など
犯罪遭遇リスクを下げる
  • リスクの高い環境下に長時間いない(なるべく近づかない、滞在時間を短くする、常時非常口や脱出ルート確認・シミュレートする)
  • 避難しやすい態勢作り(動きやすい服装と歩きやすい靴を着用し、手荷物は最小限にとどめる)
安全情報の収集
  • 信頼できる情報源を確保する(各国外務省・大使館や報道機関の発表など)
  • ソーシャルメディア情報を鵜呑みにしない
  • 「良好な人間関係」の構築(社内、近所、地元住民の口コミは情報収集の基盤)
万一事件事故に巻き込まれた場合は「安全第一」
  • 強盗には抵抗せずに金品を渡し、速やかに現場から離脱して「二次被害」を避ける
長期滞在時に犯罪被害に巻き込まれないための注意事項
  • 犯罪者は、事前に下見をすることが多いので、平素から住居周辺に気を配り、不審者が徘徊している場合などはガードマンや警察に通報するよう心掛ける
  • 玄関のドアや防犯グリル(格子)を常に施錠し、ドアチェーンをかけ、来訪者応対時の確認を確実に行う
  • メイドやガードマン等が犯罪者の手引きをする例もあるので、警戒を怠らない
  • 家族の行動、居場所等を常に把握し、変更が生じる場合は、必ず連絡を取り合う
  • 普段から不審電話を警戒し、電話機の近くには緊急連絡先リストやメモ等を常備する
  • 自宅に多額の現金を置かない、旅券などの貴重品は金庫や厳重に鍵のかかる場所に保管する
  • 夜間外出時には、敢えて室内照明を点灯させておくなど、不在であることを気付かれないようにする
  • 家を長期間留守にする場合は、あらかじめ郵便物や新聞等の処理を近隣者や知人に依頼しておく
  • 在宅中に侵入者に気付いたときは、速やかに警察に通報(警備会社への通報装置を利用するなど)し、侵入者との接触を避ける(施錠可能な部屋に立てこもるようにする)
    • 空き巣は、騒ぎ立てられて居直り強盗(殺人)に急変する例が多いので注意する

不測の事態が発⽣したときには、家族等の依頼を受け⼤使館より安否確認の連絡をする場合がありますので、滞在先等は必ず家族に連絡しておく等、常に所在を明確にしておくようにしてください。
⾮常事態が発⽣したと思われるような場合や、外出中に不測の事態に遭遇した場合は、⾃宅か職場等の安全な場所に戻り、事態が静まるまで待機してください。また、必ず⽇本国⼤使館に連絡してください。

緊急時の連絡先

安全のために、普段から予防対策を心掛けておくことが重要ですが、いざ事が起こったときのことを想定して、その時に被害を最小限にするための対策を講じておくことも大切です。緊急連絡先はメモしておき、家族それぞれが持つような努力が必要です。

警察・消防・救急

クアラルンプール
  • 警察・救急⾞:TEL 999
  • ⽕災:TEL 994
ペナン
  • 警察・救急⾞:TEL (04)999
  • ⽕災:TEL (04)994
コタキナバル
  • 警察:TEL (088)221-191(ホットライン)
  • 救急⾞:TEL (088)250-555
  • ⽕災:TEL (088)994
ジョホールバル
  • 警察・救急⾞:TEL (07)999
  • ⽕災:TEL (07)994
  • 出典:
    損保ジャパン・SOMPOリスクマネジメント『海外生活を安全におくるために August2018』
    ジェイアイ傷害火災保険株式会社 『海外での医療事情』

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